10年と1日前の春を。

「どこに行ってたの! こんなに夜遅くまで外出歩いちゃダメでしょう!?」


ドアを開けた。
そこには、カンカンに怒った母親の顔があった。

あー、やっぱり怒られたか・・・・・・。


「ごめんって。 色々友達と絡んでただけ。 そんなに怒らなくてもいいじゃん」


私は肩をすくませて、靴を脱いだ。
そのまま部屋へ。


「こら李依! ちょっと、ちゃんと話を聞きなさい!」


「いたっ!」


母親に腕を掴まれたのが分かると、私はすぐにその手を払う。

この歳で反抗期って普通なのだろうか。

だいたいこの行為自体、反抗期なのか分からないが。


「やめてよ。 わざわざお母さんに聞かれるの、本当にムリだから。 てか部屋行くね」


これって絶対反抗期ってやつ・・・・・・。

私は母親の話を途中で遮って階段を登った。

部屋の鍵を閉めて、ドアにもたれた。


「おいおい〜、親にそんな態度取っていいのか?」


「ダメだって事くらい分かってるよ。 でもやっぱりなんか反抗しちゃうの。 これは意識して反抗してるわけじゃないからね」


そう、私は分かっている。

親は、子どもが夜遅くに帰ってくると心配して怒る事は当然のように行う。

まぁ、当たり前だ。

でも、何故か分からないが、怒られると逆に苛々して、それをぶつける。


こんな事で親に対抗している高校生は、私を含めて何人いる事だろう。

どうせなら会って語り合いたいものだ。


弟達もいちいち絡んで来るのが少し鬱陶しく感じてしまう事もある。



でもきっと、そうやって反抗出来るという事は、相手の前では安心して言えるということ。



だから私は親に反抗しているんだ・・・・・・。


「ほんとめんどくさいガキだな、お前は」


「ふん、怜だっていちいち突っ込んでくるとか、めんどくさいガキだと思いますけどー?」


家族に見つからないように、少し小声で言う。

あれ、もしかして、怜にも安心して言えてるという事になるのかな・・・・・・。



ピロン!



油断していた所に、スマホがぶるぶると震えた。

この着信音は多分メールだ。



まさかハルト!?



『李依明日空いてる? 今度はまたカラオケのメンバーで遊ぼうって話になったんだけど』


少し期待していた自分がどこかにいて、恥ずかしい。

送ってきた相手はもちろん百香だ。

きっと百香の方からみんなを誘ったのだろう。



『ごめん! 明日は行けない』



そう打って、今度は全て消す。

あまり行きたくないのは行きたくない。
でも・・・・・・。

でも、ハルトがいるなら・・・・・・。


『空いてるよ、参加するね』


私は、ハルト目的で返事を打つ。

明日もしもハルトが私と話すなら、今日の事しかありえないと言ってもいい。


という事で、明日は苦手な日程が一つ増えたが、何とか飲み込む事にする。


「さてと、お風呂入ろっと」


母親から逃げて、私はそそくさと階段を降りた。