こんな感じで大丈夫かなぁ?

上手く誤魔化せたかなぁ?

何で私は………自分とは関係のない事だとスラスラと言えたんだろう?

今の話は嘘、偽り。

……それでも、自分の本来の姿をさらけ出すよりはマシで、徹底的に“嘘”を重ねるしかない。

本来の姿なんて、到底…怖くて言えないよ。

きっと、気持ち悪がれる―――……

「対馬さんはデザイナーさんか何か?」

「うん……。人数少ないから面接とかもやってもらってるの」

「……そっかぁ、そんでさ、カナミちゃんは社長令嬢なんだぁ。……だからかな?カナミちゃんは何をしててもサマになるね」

何をしててもサマになる?

私が?

「ご飯の食べ方も綺麗だし、姿勢も綺麗だし…雰囲気も全体的にお嬢様って感じがするね。茶葉から入れた紅茶もクッキーも、部屋も全てが……」

「そ、……そんな事ない、よっ」

本当は猫背で、漫画描いてる時なんてジャージんゆ着っぱなしだし……

紅茶なんて滅多に入れないし、

締め切り前なんて、お風呂も入らないなんて当たり前の生活なんだよ。

いつの間にか、見栄を張ろうとする自分が生まれて、人前だけは格好良く見せたいだけなの。

トラウマがあって、……もう二度と容姿で嫌な思いはしたくないし、ただ、それだけなの。

いつの間にか、見栄っ張りになっていたの。

だから、ヒロ君にも見栄を通す為に、トラウマを隠す為に……

嘘だらけの世界を作り上げる。

恋人になれなくても、その気分だけを味わえたのなら……

私には充分だと思うから。