「皆、まだ戻ってないのかな?……って、福島さんと裕貴君かな?ホテルの外に居るよ」

「行ってみる?」

ホテルに戻って来るとホテルのロータリーから階段で下に降りて、海辺付近の散歩コースになっている場所に福島さんと裕貴君が居るのが見えた。近寄ってみると……、対馬さんはその奥に居て、ただ海を眺めていた。

「対馬さん……!」

私は対馬さんに駆け寄り、話をかける。

「あ、カナちゃん。おかえり。どこに行ってきたの?

「笹かま屋さんとか、読者プレゼントのお土産探ししたりしてました」

「そっか……」

対馬さんはどことなく、素っ気が無い。いつもみたいにニコニコな笑顔を私には向けてくれない。

「俺、先に部屋に戻ってるね」

対馬さんは私にヒラヒラと手を振って、ホテルに向かって歩き出した。それを見ていた福島さんはニヤニヤしながら、私に近付く。

「対馬さん、先生がヒロ君に盗られたみたいで面白くないんですよ。だから拗ねてるだけ……」

「そ、そんな事ないですよ……、多分……」

「対馬さん、先生に対して極度のブラコンですからね。まぁ、それ以上の感情もあるのかもしれないけど……」

「……?それ以上の感情……??」

「はい、多分、恋愛感情抱いてたんじゃないか、と。……あれ?気付いてませんでしたか?」

「……あ、はい。そんな事は思ってもいませんでした……」

福島さんは「まずいな、余計な事言っちゃったかなぁ……」とブツブツ言いながら、慌てながら先に行きます!とホテルの方に歩いて行った。