飲み物を飲み干し、本屋さんに向かった。

ヒロ君が努力の結果に国立大学生と言う地位を手に入れたと言う衝撃を受け、私は自分の価値を考えてしまう。

私は本当に漫画家になって良かったの?

目指していたものは何だった?

考えれば考える程、答えは見つからなかった……。

駅ビルの中にある本屋さんで、入り口付近には漫画の紹介コーナーがあった。

以前は漫画コーナーの前に置かれていたのに配置換えをしたのだろうか?見渡してみると本棚は配置換えをしてない様だった。紹介コーナーだけが大きなスペースに移ったみたい。

「カナミちゃんは漫画読む?……読まないか。カナミちゃんは興味無さそうな感じがするもんね……」

「あ、えっと……」

漫画の紹介コーナーは入り口なので、ヒロ君の目に真っ先に入った様だった。心做しか、ヒロ君の目が輝いている気がする……。

「この漫画、知ってる?……って、少年漫画だから知らないか……」

ヒロ君は指をさしたのは私の描いている漫画だった。

「俺は昔から漫画やゲームが大好きだから今だに読むし、ゲームもしてる。以前よりは興味は薄れてきたけれど、たまたま週間漫画を立ち読みした時に面白いのがあって、また再熱した。この漫画だけは全巻揃ってる」