車の中、あたしの心臓はいつもの倍近くの速さで動いていた。


嫌な気持ちが胸の中に充満している。


「ねぇ、透と明人君は犯人を知っている素振りだったよね」


気持を紛らわせるため、あたしは楓にそう言った。


「あ、そういえばそうなんだっけ?」


「うん。だけどあの2人はなにもできなかった。それってどうしてなんだろう」


ずっと思っていた疑問だった。


犯人を知っているのに何もできない。


明人君には透という仲間もいたのに、それでも何もできなかった。


犯人は一体誰なのか。