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教室へ行くのにこれほど緊張したことは生まれてはじめての経験かもしれない。


小学校１年生の最初の登校日でも、ここまで緊張はしなかっただろう。


そう思いながら楓と２人で教室のドアを開けた。


瞬間、クラスメートたちの視線が突き刺さる。


昨日よりも増してその視線は厳しさを放っている気がする。


あたしはぎこちない足取りで自分の席に向かった。


田村先生はホームルームに使うプリントを取りに職員室へ行ってしまった。


楓が一緒にいてくれても、心細さは消えなかった。


そして自分の席についた瞬間、「消えろブス！」と言う声が聞こえて来た。


ハッとして声のする方へ振り向くと、そこには久美がいた。


久美は顔を真っ赤にしてあたしを睨み付けている。


『消えろブス！』それはあたしのサイトに書かれていた久美への悪口だった。


「久美……あれは違うの！」


咄嗟にそう声を上げていた。


信じてもらえなくても、自分が書いたのではないと伝えなきゃいけないと思った。


「なにが違うんだよ！　人の悪口ばっかり書いてさ！」


久美が大股であたしの机の前まで歩いてくると、バンッ！　と両手であたしの机を叩いた。


その音にビクリと体が跳ねる。