準備万端整った。
 あとは、レスキュー活動の機会を待つだけ。
 とは言っても、救助される側にとっては災難だ。他人の不幸を待っているようで、
気が引ける。
 学生の身なので、ソラシドレスキューとして活動できるのは、放課後か休日だけ。
 それもあって、なかなかレスキュー活動の機会が得られぬまま、夏休みになった。

 夏休みなら、レスキュー活動できる時間が増える。
 期待に胸を膨らませて、毎日AI部に出勤する。
「AI部って、何をやってるの? そんなに忙しいとこなの?」
 連日登校する私を訝って、お母さんがこんな事を尋ねて来た。
「毎年テーマは変わるけど、今年は自分達でスマートスピーカーを作る計画なの」
 と答えると
「あぁ、そのAI……」
 と母は応じたが、果たして分かっているのか?
「シーちゃんやアッキーも一緒だから、心配しないで」
と言うと、安心してくれたようだ。
 ゴメンなさい、お母さん。今言ったのは、方便なんです。
 でも、私は疚しい事はしていません。人の役に立つことをしようとしてるんです。
 どうか、見守っていてください。