三段目ロケットの上にあるのが、トリフネ宇宙船の本体。
 地上に近い方から、円筒形の機械船、釣り鐘形の司令船があり、その上部に倒立の
恰好で拡張モジュールが接続されている。
 機械船には、地球からセルベルクへと向かうためのロケットエンジンと、乗組員の
生命維持に必要な空気・水が搭載されている。太陽電池パネルを展開させて、電気の
補給も出来る。
 司令船は、打ち上げと地球帰還時に乗組員が搭乗する船だ。最大で5人の乗組員が
搭乗できる。今回のミッションでは、搭乗するのは私達二人だけだ。
 拡張モジュールは、月軌道上での実験/居住区画と月着陸船で構成されている。
 これは、元々、トリフネが月の資源探索用のロケットだった事に由来する。
 今回のミッションでは実験施設が取り払われ、二人には広すぎる居住区が残った。
背を伸ばして寝られるベッドや個室トイレが用意してある。と言っても、ミッション
中に 私達がこの区画に居る時間は、半日しかないのだけれど。

 打ち上げ後のトリフネは、東に向かって飛ぶ。これは、地球の自転方向に飛ぶ事で
少しでも速度を稼ぐのが目的だ。
 宇宙センターは南九州にあるので、トリフネは打ち上げ後に関東の南海上を飛ぶ。
この時に、船内から故郷の姿を見られるのではないか。そう考えた。
 でも、上昇中のトリフネの窓は塞がれているので、地上の姿は見えないそうだ。
 残念。