というか、いつまでもここで可愛い琴音に見惚れていたら、ずっと立ちっぱなしで可哀想だ。
俺は、ドアを少し広く開けてから、



「じゃ、入れよ」



と言った。


「あっ……。ありがと!」



「じゃあ、早速ケーキ食うかな」



俺は、そう言ってパウンドケーキを1つ取った。
美味い。砂糖の味がよく効いている。



「あっ……。今日もいい? 勉強教えてほしいんだ……」



琴音は、バッグからノートを取り出した。



「もちろん! どこだ?」



俺は、身を乗り出して聞いた。



「ここ」



琴音は、開かれたノートに書かれてある、解けていない計算を指差した。



「いい? 教えてもらって」



「おぅ! そこは……」



琴音は俺が勉強を教える時に、話を一生懸命に聞いている姿までも可愛い。