私は小さい頃両親が離婚してしまったので、母子家庭で育った。働きながら私を育ててくれるお母さんは毎日夜遅くに帰ってきて、夕飯はレトルトやスーパーのお惣菜が多かった。お母さん自体、もともとあまり家事が得意じゃなかったみたいだし、手料理が食べたいなんてわがままは言えなかった。
大学に上がってからも、手料理の味を知らない私は自炊をしても失敗ばかりで、だんだん外食とコンビニに頼るようになってしまった。
でも、それでも小学校の頃までは、一緒に住んでいたおばあちゃんがごはんを食べさせてくれていたんだ。中学に上がってすぐ、亡くなってしまったけれど。
おばあちゃんは、自分で梅干しをつけたり、干し柿を干したり、ぬか漬けだって自分で作っていた。働き者で優しいおばあちゃんだったんだ。
作る料理も、すいとんや煮物、いなり寿司など、素朴な料理が多くて大好きだった。
その中でも私がよく『作って』とねだっていたのが、味噌をぬった焼きおにぎり。
具なしの塩おにぎりにフライパンで焼き目をつけて、そこに味噌を塗ってさらに焼く。香ばしくて、甘じょっぱくて、『結ちゃん、おやつは何がいい?』と聞かれるとこればっかり頼んでいておばあちゃんに笑われたっけ。『結ちゃんは本当に味噌おにぎりが大好きなんだねえ』って。
「――小さいころ、おばあちゃんが作ってくれた味噌おにぎりです」
「味噌おにぎり?」
「ええと、焼きおにぎりに味噌を塗ったようなおにぎりです」
一心さんに詳しく説明すると、じっと何かを考えている様子だった。
大学に上がってからも、手料理の味を知らない私は自炊をしても失敗ばかりで、だんだん外食とコンビニに頼るようになってしまった。
でも、それでも小学校の頃までは、一緒に住んでいたおばあちゃんがごはんを食べさせてくれていたんだ。中学に上がってすぐ、亡くなってしまったけれど。
おばあちゃんは、自分で梅干しをつけたり、干し柿を干したり、ぬか漬けだって自分で作っていた。働き者で優しいおばあちゃんだったんだ。
作る料理も、すいとんや煮物、いなり寿司など、素朴な料理が多くて大好きだった。
その中でも私がよく『作って』とねだっていたのが、味噌をぬった焼きおにぎり。
具なしの塩おにぎりにフライパンで焼き目をつけて、そこに味噌を塗ってさらに焼く。香ばしくて、甘じょっぱくて、『結ちゃん、おやつは何がいい?』と聞かれるとこればっかり頼んでいておばあちゃんに笑われたっけ。『結ちゃんは本当に味噌おにぎりが大好きなんだねえ』って。
「――小さいころ、おばあちゃんが作ってくれた味噌おにぎりです」
「味噌おにぎり?」
「ええと、焼きおにぎりに味噌を塗ったようなおにぎりです」
一心さんに詳しく説明すると、じっと何かを考えている様子だった。