「ちょっとあんたたち」


お母さんに呼ばれて、あたしとお姉ちゃんはリビングへやってきていた。


「なに、お母さん」


あたしは大学卒業後実家へ戻って就職し、またこの家で暮らし始めていた。


「今から神社へ行きなさい」


「なによ急に」


出勤準備をしていたお姉ちゃんが、スーツ姿でしかめっ面をした。


あたしも、これからデートの約束がある。


「いいから。仕事やデートよりも大事なことなのよ」


そう言い、お母さんはあたしとお姉ちゃんの背中を押して、あたしたちは転げるようにして家を出た。