不器用か⁈

見てるだけでまどろっこしい。

「私、やろうか?」

思わず、だけど自分でも驚くほど自然に手が伸びて彼の左手からとげ抜きを受け取る。

2人きりの緊張感はまだある。うまく喋れない自分がもどかしい。

でも、彼がいい人だってことくらいはこんな短時間でも理解できる。

「……じゃ、頼む」

差し出された熱い指を取り、緊張で震えそうになる手に気づかれないように、そっととげを引き抜く。

「痛く、ない?」

とげの抜かれた指からは少しだけ血が滲んでいた。

「お、サンキュー、助かった」

「消毒と絆創膏も」

目に入る場所に置いてあった2つを手に取り彼の指をサッと消毒し絆創膏を巻く。

男子の指って、こんなに太いんだ……。

恥ずかしさともどかしさ。そして今ここにいるのがこんな私で申し訳ないという気持ちが交差し、この場から逃げ出したくなる。

「ちょっと大げさじゃね?」

絆創膏の貼られた指を見て彼が言う。

「いや、バイキン入ったら大変だよ」

余計なことしてしまっただろうか……。

「あはは、そうだな、ありがとう」

切れ長の大きな目が、私の視線に合わせられる。

笑ってくれた、よかった。

恥ずかしさのせいでそらしてしまった視線を少し後悔した。感じ悪かったんじゃないかな。