「先生、虹が頭が痛いって」

「あら、大丈夫?」

「少し休ませて下さい」

保健の先生は素早く棚から痛み止めを出してくれる。

「じゃ私戻るね」

「うん、ありがとう」

頼もしい背中を見送る。こんな時は優しさが一層身に染みる。

先生から受け取った薬を飲み、ベッドへと横になる。こんな時は逆らわずに休むしかない。

「飯倉さん、先生これから来客があってちょっと外すけど大丈夫かしら?」

「ああ、はい」

「良くなって教室戻るなら、来室ノートに名前書いて行ってね」

先生が黒いファイルを手にしているのが見える。

「分かりました」

「じゃゆっくり休んで」

先生がガラリと出て行くと、そこは学校とは思えない静かな空間になり、落ち着かない雰囲気だ。

シャッと音を出してベッドの周りのカーテンを閉めると、そこは薄い水色世界が広がる。

硬めの枕に頭を乗せるといくらか痛みが和らぐ。そしてそのまま眠りについた。

「……あれ?どこだ?」

どれくらい寝ただろう、何かの物音で目が覚める。ボーっとする頭の痛みはだいぶマシになっていた。

「……とげ抜き……とげ抜き」

どうやら保健室へやってきた誰かがとげ抜きを探しているようだった。まだ先生は戻っていないようだ。

そんなにガチャガチャと音を立てられたらこっちも落ち着かないじゃないか。きっと私が寝ているのには気づいてないんだろうけど。

仕方なくベッドから起き上がる。