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晴れた空に広がるうろこ雲が秋の訪れを感じさせる。

虹の空の絵を見てから、つい空を見上げることが習慣になっていた。

「おい、一紫!行くぞ」

「おう」

アップが終わり暖まった身体はもっと動かしてくれとウズウズしている。

ピッチの外で軽いパス練習。

久しぶりの練習試合に胸が高まる。この試合にスタメンで出ることができれば、ほぼレギュラー確定だ。

誰が選ばれるか。

同じチームの仲間ではあるけれど、同時にライバルでもあるメンバーの様子を伺う。

諦めているヤツ、ハナから何も感じてなさそうなヤツ。

自信からの余裕を見せる先輩、際どいラインに立っているヤツの緊張感。俺もその一人。

「揃ってるかぁ?」

いつものジャージにいつものテンションを乗せて監督がやって来た。その右腕に持たれたスタメンが書かれたホワイトボードにみんなの目線が注がれる。

そして無造作に置かれたボードを指差し、スタメン集まってアップしとけと言い残して相手チームの監督に挨拶をしに行ってしまった。

ボードにはコートと同じラインが引かれ、各ポジションに名前の書かれたマグネットが貼られている。そのメンバーがこの試合のスタメンだ。

2年のゴールキーパーは2人、1年は3人。確率的には5分の1。

1年の中では体もデカくて経験も長い俺が、頭一つ抜き出ていると思っている。

2年の2人はなかなかの強者で、敵わないと思うことも多くある。