『ごめんね、大丈夫です』

俺宛のメッセージにナナからそう返信があった。

ーー大丈夫。

そういえば虹もそう言っていたな。

何か言葉をかけてあげたかった。

それでも、やっぱり虹の顔が浮かんできてしまい、ナナにはメッセージを送ることができなかった。

何やってんだ、俺。ナナが虹だと決まったワケでもないのに。

せっかくの部活休みの日だっていうのに、雨まで降ってるし。余計に気分が沈んでしまう。

そんな日に、透が学校に来れていない琥太郎を心配して、虹に相談したいと言ってきた。虹と面識のない透に俺も一緒に来てくれと頼まれ、断れずに虹と会った。

こうして虹と話す機会はほとんどない。ナナのことも気にはなるが、俺は虹のことが心配で少しばかり話をした。

虹は俺が何を聞いても「大丈夫」そう答えるだけで。それは明らかに強がりに見えた。

結局、虹の力になれないどころか、辛い思いをさせてしまっているように感じて何も言えなかった。情けない。

『見上げた雨雲の上には、きっと青空が広がっている』

その日のナナの呟き。それはきっと俺と歩いた時に見上げた雨雲のことだろう。

今の苦しみを乗り越えた先にはまた穏やかな日常が待っている、そんな思いなのかもしれない。

胸が痛い。早くその雨雲が晴れたらいい。その力に、少しでもなれたらいい。そんな思いでイイねを押した。