やっと帰りの学活も終わり、私は急いで美術室へと向かう。先生の話しがいつもより長かったから少しイライラしていた。

美術室のドアはいつものように重く、ガラガラと大きな音を立てて私を中へと導いてくれる。

そこには、先輩が何人かと、一年生の女子が2人、道具も出さずに座ってしゃべっていた。

人数の少ない部活らしく、上級生との壁はあまりない。

部活に来ているならしゃべってないで絵を描いたらいいのに。そうは思うけど、もちろん声には出さない。

「おはようございまーす」

私が入って来たことで、一瞬だけその会話がとまる。

みんなは一斉に挨拶を返してくれるが、次の瞬間にはまた、たわいない会話の世界へと戻ってゆく。

私はというと。

そんな会話には目もくれず、いつもの指定席へ。

窓際の1番後ろ。

一階にある美術室は運動場に面していて、私の位置からはよく見渡せる。見渡せると言っても、私は何かを見ているわけでもなく、ぼうっとただ、なんとなく眺めてるだけだ。

でも、日差しの輝きや木々の緑。

サッカーだか野球だかの部活の掛け声。晴れている日は特に、そこに座って外を眺めながら絵を描くのが好きだ。