だけどその視線はタエではなく、タエの下半身。性格にはお尻へと向けられていた。

決していやらし気持ちからタエのお尻を見ていたワケじゃない。タエのお尻からはニョキッと狸のシッポが出てきているのだ。

タエは嬉しい時や悲しい時、感情が左右された時にすぐに尻尾を見せるのだ。

最初こそ驚いたけれど、ここに来ている常連客や従業員の人たちがそんなタエをほほえましく見ていることに気が付いて、友もおなじように見守るようになっていた。

いつ頃から人間に化けているのかわからないが、タエの変化は下手くそだった。

シッポだけならカウンターの奥に引っ込んでいれば客側からは見えないけれど、時々耳まで見せている時がある。

そう言う時はさすがに友も驚き、ソワソワしてしまうのだけれど、当人であるタエは自分の変化がバレているなんて考えてもいない様子で毎日を過ごしていた。