少女に手を引かれ、夫婦と共に歩き出す。

ついさっきまで絶望に打ちひしがれていたのに、少しずつ世界の色が変化してきているのを感じていた。

「ねぇ、パパとお姉ちゃん、本当によく似てるね!」

少女が無邪気に言う。

旦那さんがあたしの顔をマジマジを見つめて「本当ですね。ホクロの位置が同じだ」と、呟いた。

「実はね。ボクには生き別れてしまったお姉さんがいるんですよ」

その姉の名前が明美だと知ったのは、それから数十分後のことだった。