今日は帰りが遅くなった。4半期の決算が近づいているので何かと忙しい。7時に着いて夕食の支度をした。いつもならそろそろ篠原さんが帰ってくるころだ。
夕食を食べていると、篠原さんの部屋のドアが突然開いて、パジャマ姿の彼が出てきた。
「帰れられていたんですか? 気が付きませんでした」
「体調が悪いので早退して、部屋でずっと寝ていた」
「大丈夫ですか?」
「風邪か、インフルエンザかもしれない。熱がある」
「お医者さんに診てもらいましたか?」
「いや、たいしたことはないだろうと思って様子を見ることにした」
「お薬は飲んだのですか?」
「頭も痛いので解熱鎮痛剤を飲んで寝たら汗をかいた。今着替えをしたところだ。俺に近づかない方がいい。移るといけないから。それに手をよく洗ってうがいをしておいた方がいい」
「私に何かできることはありますか?」
「特にないけど、何かあればお願いする。その時は携帯に電話するから」
「そうしてください」
篠原さんは冷蔵庫から、買ってきたというサンドイッチとケーキとポカリを取り出してすぐに部屋に戻っていった。そういえば冷蔵庫に買ったはずのないものが入っていた。
私に移さないように部屋でひとり食べるつもりだ。ひどくならなければいいけど。
夜中に物音がするのに気づいた。もう4時を回っていた。ドアを開けて顔を出すと篠原さんがいた。
「大丈夫ですか?」
「喉が渇いたから、飲み物を取りに来た」
「電話してくれれば、持って行ってあげたのに」
「折角眠っているのに起こすのも悪いと思って」
「こんな時は遠慮しないで下さい。それより本当に大丈夫ですか?」
「寒気がして熱が出た。解熱剤を飲んだら、また汗をかいて、下着やパジャマを取り換えた」
「下着やパジャマはまだ新しいのはあるのですか」
「もう一組くらいはあるから大丈夫だ」
「熱は?」
「今は37℃。これより下がらない」
「明日、医者にかかった方がいいです。必ず行って下さい」
「様子をみてからでいいだろう」
「必ず行って下さい。約束してください」
「分かったよ。それほどまでいうなら行くよ」
「朝になったら、朝食を準備して、洗濯をしますから、それまでゆっくり休んで下さい」
篠原さんは部屋に戻った。熱があるのか、辛そうだった。
************************************
7時に篠原さんの部屋のドアをノックする。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。今、熱を測る」
「どうですか?」
「38℃ある。今日も休むから」
「下着とパジャマを着替えて、とりあえず、朝食を食べませんか? 食欲はありますか?」
「お腹は空いている。すぐ行く」
篠原さんがリビングダイニングへ出てきた。私は朝からマスクをつけている。
「私はもう済ませましたので、ゆっくり食べてください。その間にシーツと枕カバーを取り換えて洗濯します」
私は部屋に入って、ベッドのシーツや枕カバーを新しいものに交換した。それから着替えをした衣類も洗濯機に入れて洗濯を始めた。そこへ朝食を終えた篠原さんが入って来た。
「洗濯機はこのままにしておいてください。お昼に来て乾いた洗濯物を片付けますから」
「自分でするから、いいよ」
「言うとおりにしてください。身体を大切にしてください。それから必ずお医者さんへ行ってください。約束してください」
「必ず行くから」
「それより白石さんに移らないか心配している」
「心配ご無用です。インフルエンザの予防注射は毎年必ずしています。今までインフルエンザにかかったことはありません」
「でも油断しないで」
「大丈夫です。今も気を付けています」
篠原さんがベッドに横になるのを見届けると部屋から出て来た。洗濯機は勝手に回って乾燥もしてくれるから、これで大丈夫。
念のため、出社する前に、部屋へ行って念を押す。
「いいですか、お医者さんへ行ってくるのですよ。それからお昼に見に来ますからね」
大丈夫だろう。子供じゃないのだから。でもやっぱり元気がなかった。ちょっと心配だ。
************************************
昼休みに急いでマンションに戻ってきた。1時までに戻らなくてはならないので時間は余りない。部屋をノックして顔を出す。
「お医者さんへ行ってきましたか?」
「ああ、行ってきた。お薬ももらってきた」
「なんと言われましたか?」
「インフルエンザA型、2~3日安静にしているように言われた」
「じゃあ、おとなしくしていてください」
「そうするしかないだろう」
部屋に入って、洗濯機から乾燥した衣類などを出して畳んで、クローゼットにしまった。
「お昼はどうします」
「コンビニでパンを買ってきたから後で食べる」
「今は、その位がいいですね。夕食はいつも作っていますから、それを食べてください。お腹にやさしいもの考えますから」
「食べに行けないのでお願いできるかな、助かる」
「じゃあ、おとなしく待っていてください」
そう言って、私は部屋を出て、会社へ急いで戻った。いつもの篠原さんはどこかへ行って弱気になっている。可愛いところがある。
夕食は何を作って上げようか? 母親がいつも風邪を引くとうどんを作ってくれた。それにしよう、簡単だ。
夕食を食べていると、篠原さんの部屋のドアが突然開いて、パジャマ姿の彼が出てきた。
「帰れられていたんですか? 気が付きませんでした」
「体調が悪いので早退して、部屋でずっと寝ていた」
「大丈夫ですか?」
「風邪か、インフルエンザかもしれない。熱がある」
「お医者さんに診てもらいましたか?」
「いや、たいしたことはないだろうと思って様子を見ることにした」
「お薬は飲んだのですか?」
「頭も痛いので解熱鎮痛剤を飲んで寝たら汗をかいた。今着替えをしたところだ。俺に近づかない方がいい。移るといけないから。それに手をよく洗ってうがいをしておいた方がいい」
「私に何かできることはありますか?」
「特にないけど、何かあればお願いする。その時は携帯に電話するから」
「そうしてください」
篠原さんは冷蔵庫から、買ってきたというサンドイッチとケーキとポカリを取り出してすぐに部屋に戻っていった。そういえば冷蔵庫に買ったはずのないものが入っていた。
私に移さないように部屋でひとり食べるつもりだ。ひどくならなければいいけど。
夜中に物音がするのに気づいた。もう4時を回っていた。ドアを開けて顔を出すと篠原さんがいた。
「大丈夫ですか?」
「喉が渇いたから、飲み物を取りに来た」
「電話してくれれば、持って行ってあげたのに」
「折角眠っているのに起こすのも悪いと思って」
「こんな時は遠慮しないで下さい。それより本当に大丈夫ですか?」
「寒気がして熱が出た。解熱剤を飲んだら、また汗をかいて、下着やパジャマを取り換えた」
「下着やパジャマはまだ新しいのはあるのですか」
「もう一組くらいはあるから大丈夫だ」
「熱は?」
「今は37℃。これより下がらない」
「明日、医者にかかった方がいいです。必ず行って下さい」
「様子をみてからでいいだろう」
「必ず行って下さい。約束してください」
「分かったよ。それほどまでいうなら行くよ」
「朝になったら、朝食を準備して、洗濯をしますから、それまでゆっくり休んで下さい」
篠原さんは部屋に戻った。熱があるのか、辛そうだった。
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7時に篠原さんの部屋のドアをノックする。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。今、熱を測る」
「どうですか?」
「38℃ある。今日も休むから」
「下着とパジャマを着替えて、とりあえず、朝食を食べませんか? 食欲はありますか?」
「お腹は空いている。すぐ行く」
篠原さんがリビングダイニングへ出てきた。私は朝からマスクをつけている。
「私はもう済ませましたので、ゆっくり食べてください。その間にシーツと枕カバーを取り換えて洗濯します」
私は部屋に入って、ベッドのシーツや枕カバーを新しいものに交換した。それから着替えをした衣類も洗濯機に入れて洗濯を始めた。そこへ朝食を終えた篠原さんが入って来た。
「洗濯機はこのままにしておいてください。お昼に来て乾いた洗濯物を片付けますから」
「自分でするから、いいよ」
「言うとおりにしてください。身体を大切にしてください。それから必ずお医者さんへ行ってください。約束してください」
「必ず行くから」
「それより白石さんに移らないか心配している」
「心配ご無用です。インフルエンザの予防注射は毎年必ずしています。今までインフルエンザにかかったことはありません」
「でも油断しないで」
「大丈夫です。今も気を付けています」
篠原さんがベッドに横になるのを見届けると部屋から出て来た。洗濯機は勝手に回って乾燥もしてくれるから、これで大丈夫。
念のため、出社する前に、部屋へ行って念を押す。
「いいですか、お医者さんへ行ってくるのですよ。それからお昼に見に来ますからね」
大丈夫だろう。子供じゃないのだから。でもやっぱり元気がなかった。ちょっと心配だ。
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昼休みに急いでマンションに戻ってきた。1時までに戻らなくてはならないので時間は余りない。部屋をノックして顔を出す。
「お医者さんへ行ってきましたか?」
「ああ、行ってきた。お薬ももらってきた」
「なんと言われましたか?」
「インフルエンザA型、2~3日安静にしているように言われた」
「じゃあ、おとなしくしていてください」
「そうするしかないだろう」
部屋に入って、洗濯機から乾燥した衣類などを出して畳んで、クローゼットにしまった。
「お昼はどうします」
「コンビニでパンを買ってきたから後で食べる」
「今は、その位がいいですね。夕食はいつも作っていますから、それを食べてください。お腹にやさしいもの考えますから」
「食べに行けないのでお願いできるかな、助かる」
「じゃあ、おとなしく待っていてください」
そう言って、私は部屋を出て、会社へ急いで戻った。いつもの篠原さんはどこかへ行って弱気になっている。可愛いところがある。
夕食は何を作って上げようか? 母親がいつも風邪を引くとうどんを作ってくれた。それにしよう、簡単だ。