少ししてリョウちゃんが「……あっ!」と頭上を指した。


「あれが、夏の代表的な星座のさそり座だ」

「さそり座。星座占いに出てくるよね。私のお母さん、さそり座生まれだよ」

「おばさん、さそり座だったんだ。僕もなんだ」

「え……?」


 リョウちゃんが、さそり座?

 私の驚く顔に、リョウちゃんも同じように驚いたように目と口を開く。


「い、意外だったかな?」

「あ、ううん。ごめんね、何となくリョウちゃんって、春生まれな気がしてたから」

「さそり座は十月下旬から十一月中旬生まれだもんね」

 そっかそっか、とリョウちゃんはウンウンと納得するようにうなずいて、再び夜空を仰ぐ。


「あの赤い星が、さそり座の心臓と言われている一等星のアンタレスだよ」

「ああ、あの赤い星だね」


 リョウちゃんが手を頭上にあげて指し示してくれる。

 その腕に寄り添うようにして夜空を見つめると、確かに赤く光って目立つ星があった。

 アンタレスがさそり座で有名な星だということは、知識として知っていた。けれど、こうして実物をまじまじと見るのは、初めてかもしれない。


「うん。あれがさそり座の心臓といわれていて、線で繋ぐと、さそり座になるんだよ」

 そう説明しながら、リョウちゃんは腕を動かす。