なのに、

 「ほら‼ あるじゃん‼」

 蒼ちゃんは『よく見ろ‼』と掲示板を指差した。

 「…ほんとだ」

 拓海が蒼ちゃんから俺の受験票を奪い、掲示板と受験番号を見合わせる。

 「…ある。あるよ‼ がっくん‼」

 マルオが拓海の手に持たれた俺の受験票を覗き込み、掲示板を確認すると、俺に抱き着いてきた。

 「…でも、辞退者が出なかったら入れないじゃん」

 俺の番号は、補欠合格者の掲示板にあった。故に、俺のA高入学は確定ではない。

 「隣の県の公立の発表も確か今日とか昨日とかだったんだよ。わざわざ県跨いで通う奴とかいるし、辞退者は毎年絶対いるんだって‼」

 全然喜ぼうとしない俺の肩を蒼ちゃんが揺らした。