「……喜ばなきゃね。分かってるんだけどね」

 しょっぱい顔で笑う蒼ちゃん。

「あぁー……。そうだよね。なんか、母親の恋愛話聞かされてる感じで気持ち悪いよね」

 ふと、蒼ちゃんとの歳の差を思い出し、納得。

「そうじゃなくてさ。なんか凄く寂しくなってさ。サバちゃんの1番近くにいたのはずっと俺だったのに、唐沢になっちゃうんだなーって」

「あぁ、シングルマザーの母親に彼氏が出来ちゃった感覚?」

「知らんし。俺、両親離婚してなかったし」

【両親】という言葉を発した蒼ちゃんの顔が曇る。大好きな人たちに会えなくなってしまった蒼ちゃんは、どれだけ淋しい思いをしているのだろう。それなのに自分の恋愛話をするのは、無神経すぎたと反省。