それから半年、岳海蒼丸の舞台を挟みながら、ボイスレッスンに通い続けた。

 『ナレーションの仕事をしてみたい』と始めたボイスレッスンだったが、マネージャーに『折角だから歌も上手い方がいい』と言われ、最近は中学の合唱コンクールの時に先生に言われた『つむじから声を出せ』という、無理な上に理解不能な技の習得を再度試みている。

 『口は顔の下の方にくっついているのに、どうやってつむじから声を出すんだよ。不可能だろ、物理的に』と頭を悩ませながらも、レッスンは楽しく続けている。

 ダメ元でナレーションのオーディションもいくつも受けているが、箸にも棒にもかかっていない。

 ちなみに蒼ちゃんは、9月に卒業出来なかった。