そんなこんなで、大会やらコンクールやらでなかなか4人が揃えず、撮影に漕ぎ着けたのは夏休みに入ってからだった。

 蒼ちゃんからもらった脚本のセリフを覚え、待ち合わせ場所の河原に行くと、蒼ちゃんが美女と戯れながらカメラを向け合っていた。

 「なんか裏切られた気分なんですけど」

 蒼ちゃんと美女を眺めながら唇を尖らせていると、

 「モテないキャラ演じてるけど、実際人気あるもんね、蒼ちゃん」

 マルオが少し遅れてやってきた。

 「アイツ、彼女連れてきたのかよ。何をちゃっかり楽しんで撮影しようとしてるんだよ」

 そして、拓海も到着。

 3人が揃った事に気付いたのか、蒼ちゃんと美女が手を振りながらこちらへと駆け寄ってきた。

 走っている最中に美女が何かに足を取られ、転びそうになったところを、『危ない』と美女の手を握る蒼ちゃん。