先週末、大学時代の仲間と飲んだ時に、『仕事だるい』『先輩ウザい』等と愚痴る、新社会人として働く彼らが凄く羨ましく、何もしていない自分が恥ずかしくなった。

 『俺は芸能事務所に入っている。俺だってちゃんと社会人だ』と自分をニートと認めずに、みんなと同等である事を装って、『へぇー』なんて相槌を打ちながらその場を過ごしたが、飲み会の帰り道は奥歯を噛みしめながら歩いた。

 「こんな事なら……」

 俺からふと零れた言葉に、蒼ちゃんが眉毛をピクっと動かし、目の色を曇らせた。だから続きを言うのを辞めた。

 『こんな事なら、就職しておけば良かった』。

 蒼ちゃんは売れっ子の脚本家。俺が言おうとしていた台詞など、お見通しだっただろう。