「がっくんの大学、聞いたことないな」

 「それ、東京?」

 「実在する?」

 拓海と蒼ちゃんとマルオが首を傾げる、見たことも聞いた事もない大学に受かった。

 推薦でアッサリ合格していく3人に焦ってしまい、蒼ちゃんの案に沿ってAO入試を試みて、来年から開校する、Fランかどうかも分からない未知の大学に決めてしまった。

 俺だけ別の大学になってしまったが、淋しいと思わなかった。

 なぜなら、来年からは事務所が借り上げてくれた家に、岳海蒼丸でルームシェアをする事が決まっていたから。

 誰も知らない大学の生活と、岳海蒼丸での活動が待ち遠しくて、胸が高鳴ってどうしようもない。

 楽しかった高校を卒業するのは、淋しいさよりもワクワクの方が何倍も大きかった。