由紀乃は一番前だから、由紀乃のはずがない。
じゃあ誰……?
「……何?」
そこにいたのは男の子。
茶髪で切れ長の目をしている男。
私の隣が男子だったってことに今初めて気づいたよ。
「なあ、アンタ、二宮若葉?」
「は?」
「やっぱそうだろ!?
いや~まさか二宮若葉と同じ高校なんてな」
何この人、何で人の名前知ってるの?
しかもフルネームで。
「ねえ、何で名前……」
「アンタ有名だよ。男子にも負けず劣らず
かっこよくてバスケも上手い二宮若葉」
なんだそれ。
いつの間にそんな噂になってるの?
びっくりして目を丸くしていると、
男は私の方を向いた。
「よし、友達になろ。
俺、新海歩夢。よろしく」
「あ……うん、よろしく」
歩夢は私の手を取って握手をした。
なんだろこの人。人懐こいのかな?
まあ、悪い人ではないだろうね。
高校生かあ。なんだか実感ないな……。
陸、今ごろどうしてるかな。
「なあ、二宮。お前部活はやっぱりバスケ?」
「……いや、陸上部に入るつもりだけど」
「マジで!?あー、お前なら何でもできるか」
バスケは好きだし、走るのも好き。
得意分野なだけよ。
「二宮がいるんなら、俺も陸上やろっかなー」
「はあ?あんたねえ、
そんなんで決めていいの?」
「いいのいいの。俺、お前のこと気に入ったし」
はあ……。