冬の寒さも終わりを迎え、春の暖かな風が、窓を揺らした。


「誰もいない。
貸し切りみたいっ」

田舎町、たった一つしかない図書館は、今にも崩れそうなぐらいだ。

だけど、解放された図書館は快適。

だって本当に誰もいないんだから。


私は新しい本を探しに、図書館を歩きまくる。

私、橋下 美織(ハシモト ミオリ)。

14歳。
まだまだ初恋もまだの中学二年生。


「んっ?
なんだこれっ、詩集?
つか、凄い埃っ!」


何年も忘れさられていたみたいな、本に
少しだけ同情した。