「じゃあ、生活費の分担だけど、どうする? すべて僕の負担でもいいけど」

「家事は私がすべてすることでいいのならそれでもいいんですが、私の我が儘を聞いてもらった分、それだけじゃあ少し後ろめたいです。まるで寄生虫みたいですから、宿主のメリットが少なくはないですか?」

「家事をすべてしてくれるならそれでいいけど」

「それでも家事すべてというと、負担が大きすぎます。私も働き続けますから、少しは手伝ってもらわないと無理だと思います」

「そうだね、共働きになるからね。家事はできるだけ手伝うよ。今も一人でやっているからその点は大丈夫だから、安心して」

「そういっていただけるとありがたいです」

「食事も作るよ。僕の作った料理、味は保証できないけど、食べてもらえるなら」

「好き嫌いは特にありませんから、お願いします」

「土日は僕が作るとかでもいいよ」

「都合の悪い時に作ってもらえるとありがたいです」

「いいよ、言ってくれれば。それから、掃除、洗濯は手伝うよ」

「洗濯は私がします」

「僕の下着も洗ってくれるの」

「当たり前です」

「僕はしなくていいの。取り込みも片付けも?」

「洗濯は私がすべてします。乾燥機にかけますから、取り込みは必要ありません。自分の分の片付けだけお願いします」

「分かった。じゃあ、それでお願いします」

「掃除は手伝うよ。掃除は休みの日くらいにしかできないだろう。自分の部屋は自分でする。お風呂とかはまかせておいて」

「お願いします。良いだんなさまになりそうで安心しました。本当にやってもらえるならですが」

「きちんとやるよ。男に二言はない」

「よろしくお願いします」

「生活費の分担だけど。住居費はマンションの賃料になるけど、僕が負担する。1LDKを2LDKに借り換える必要があるから負担は増えるけど、住宅手当も出ているからなんとかなる。生活費のうち、食費と光熱水費などを分担してもらったらどうかな? それなら君も気が楽だろう」

「はい、それなら気兼ねがありません」

「いくら掛かるか分からないけど、折半でどうかな? その管理は君に任せる。口座を新設して、それぞれが分担金を振り込む。それを君が管理するということでどうかな?」

「分かりました。生活費は私が管理した方がよさそうですから」

「それぞれの給料は自分で管理する。お小遣いもその中から、被服費、交通費、医療費などもそれぞれが負担する。もちろん貯金もそれぞれ責任を持ってする」

「あなたの負担が多くなりますが、いいんですか? 結婚するメリットがないのでは」

「それでいい。負担もこれまで一人でいた時とそんなには増えないと思う。素敵な君と一緒に住めて、家事もしてもらえるなら、言うことはない」

「すべてご期待に沿えなくてすみません」

「いいんだ、僕が努力してなんとかすればいいんだから。それと君が僕を好きになってくれればいいことだから。努力はしてくれるね!」

「努力してみます」

「その努力にも期待したいな」