月曜日に席に着くとすぐに新庄君が席に来て小声で話かけてきた。

仕事を終えたら話を聞いてほしいと言うので、駅前の居酒屋で話を聞くことにした。

居酒屋には新庄君が先に着いて待っていた。

「話って」

「相談したことについて聞いてもらいたくて」

「聞こうじゃないか」

「あれから、磯村さんに言われたとおり、野坂先輩を誘って飲みに行きました。そこで、思い切って、好きだから付き合って下さいと話しました」

「それで」

「返事を待ってほしいと言われました。断られるかと思っていたのですが」

「それから」

「土曜日にもう一度会うことになって」

「どうした」

「付き合っても良いと言ってくれました。ただし、社外に限ると言って」

「そりゃそうだろう、大体、社内では付き合っていることは内密にしておいた方が良いに決まっている。俺たちもそうだから」

「俺たちって?」

「いや、どうでもいいだろう。それより、どうするんだ」

「付き合います。休日に」

「それで、どうしたらいいかと思って」

「それなら、毎週でもデートをするのがいいだろう。お互いにもっと知り合うために」

「どんなところがいいですか? 野坂さんは大人の女性ですから、僕には適当なところが思い当たりません。高級レストランとかはどうですか? 磯村さんと野坂さんは時々飲みに行っていたんでしょう。飲みに行くとかではだめなんですか?」

「あれはただ話をするためだ。友達付き合いだから。もし恋人だったら違うところへ行くよ」

「そうですか」

「野坂さんは大人の女性だからこそ、どちらかというと若い恋人同士が行くようなところへ誘ったらいい。例えばディズニーランドとか遊園地とか」

「僕はいままで若い女性と付き合ったことがないんです」

「そんなことないだろう。君はイケメンでカッコいいし、米山さんが惚れたぐらいだから」

「本当なんです。いままで女性と付き合いたいとは思いませんでした」

「君が好きな人と行きたいと思うところへ行けばいい。大人の女性だなんて気にするな。そして恋人同士がするように手を繋いで肩を抱いて、それからは自分が恋人にしたいことをすればいい。

自分に素直になったらいい。自分の大切な人にどうすればいいか、どうしてあげればいいか、自分で考えろ。野坂さんにはそれが一番いいと思う」

「分かりました。自分に素直になってやってみます」

「でもよかったな。こんな相談なら歓迎だ、うまくいくことを願っているよ。でも自分のこととなると話は別で難しいけどね」

新庄君は何か吹っ切れたように帰っていった。これでうまくいってくれればいいのだが。