「ふしぎだね、最近」

「えっ!」

「学校がとつぜん、十日間も休みになったり、急に夏みたいに暑くなるなんて……」

そう言ってつぼみは、手をうちわのようにしてパタパタとあおいだ。

「そう思わない?」

「そうだね」

つぼみにそう言われて、僕は首を縦に振った。

秋が急に暑くなるのも、学校が十日間も休みになったのも、僕が女神様に願ったからだ。そして、つぼみとのデートも僕の願いだ。

「やっぱり神様って、いるのかな?」

「えっ!」

「神様が、私たちの願いをかなえてくれたのかな?デートの日にこんないい天気にしてくれたのも、学校を急に十日間も休みにしてくれたのも、神様がいるからかな?

つぼみは僕に視線を移して、はずんだ声で訊いた。

二カ月も、つぼみと神様の会話をしていたことを僕の記憶に今よみがえった。あのとき晴れか雨で神様の存在をてきとうに決めたが、この二カ月以上、僕はこの神社でずっと神様にお金と引きかえに願いをかなえてもらっていた。