「で、アメリアさん。私に何の用だ?」
アメリアは尋ねられるとスッとマントから精霊の本を出した。それを見たおじいちゃんは眉を顰める。
「この中に兄が閉じ込められています。出してあげてほしいのです! 無実なんです!」
無実って……。もしかして魔法の牢屋に入れられちゃったって事?!
「本当にそういう使い方をしておりますのね……」
マリアさんも驚いて呟いている。ハル君とカナ君もそれに頷いた。これって持ち出して来たって事なのかな? もしかして本に閉じ込めて保管してあるとか?
「もしかして、その本は向こうの世界から持ち出して来た物なのか?」
少しトーンが低い声でおじいちゃんは、アメリアさんに問うと彼女は頷いた。
おじいちゃんはそれを聞くと、大きなため息をつく。先ほどまでの笑顔はなく険しい顔つき。
「何故そんな事を……。どちらにしてもそんな事は出来ないな。ティメオ様がお作りになった本であろう?」
アメリアさんは、本を両手でギュッと握りしめた。
「兄が精霊の本を持って来るようにエリーヌさんに頼まれたと言ったのですが、ティメオ様は兄が嘘をついていると言って本の中に……。兄がそんな嘘をつくはずがないのです! リアムさんが地球にいると聞いて……。お願いです! 助けて下さい!」
最初は俯いて話していたアメリアさんだったけど、最後はおじいちゃんをまっすぐに見て懇願していた。
よくわからないけど、アメリアさんは誤解で兄は閉じ込められたから出して欲しいと本を持ってきたみたい。って盗んで来たんだよね、きっと。向こうの法律がわからないけどダメだよね……。
おじいちゃんは、腕を組んで神妙邪顔つきで考え込んでいる。
「あなたが言っている事は恐らく本当のことだろうが……。私が本から出す事は出来ない。だがティメオ様には説明してみよう」
「本当ですか! お願いします。ありがとうございます!」
おじいちゃんの言葉に嬉しそうにアメリアさんは頭を下げる。
「ちょっと、父さん! その人に協力するんですか?! その本って盗んで来たんですよね?」
「確かに断りもせずに持ち出してきたんだろう。だがその原因を作ったのはエリーヌだ。迷惑をかけたのだから当然だ!」
「迷惑? 父さんはエリーヌさんをご存知で?」
「お父さん、鈍感! おばあちゃんの名前、絵理《えり》じゃん。で、向こうの世界の名前がエリーヌ。だよね? おじいちゃん」
ハル君の説明におじいちゃんはその通りと頷いた。
つまりおばあちゃんがアメリアさんのお兄さんに本を持って来るように頼んだせいで精霊の本に閉じ込められたって事?!
「………。そ、それは、母が大変なご迷惑を……」
おじさんも理解したようで、アメリアさんに謝った。
「いえ、こちらこそ、すみませんでした」
「でも、どうしてこっそり帰ったんだ? 向こうの人は母さんが帰ったのを誰も知らなかったって事だよな? そのせいでアメリアさんのお兄さんが閉じ込められたのだし……」
「戻ったのを父親に知られたくなかったのだろう」
おじさんが私達の疑問を代表したかのように言うと、おじいちゃんはまた疑問が残る答えを返して来た。
「何でさ? おばあちゃん里帰りしたんだよな?」
「まあ、それは……。この世界で言うと家出だったからだと思うが……」
カナ君が質問をすると、思わぬ回答が飛び出した! 家出してきたと言う!
「家出! それでここにずっと居座っていたんですか? 孫ができるぐらいまで?!」
おじいちゃんの発言に驚いて、おじさんは聞き返す。
壮大な家出ですね……。異世界を渡るなんて……。
「まあ、駆け落ちでしたの?」
「いや、ただの家出だ。父親と喧嘩してな」
「ま、まさか。本当は恋人ですらなかったとかじゃないですよね? それなのに孫まで作ってしまったから帰り辛くなったとか言わないですよね?!」
「そんな訳あるか! れっきとした妻だ! エリーヌがティメオ様と喧嘩して出て行くと言うので一緒について来たのだ。前にこの世界に来た事があったから地球を選んだまでだ!」
おじいちゃんが慌てて弁解した言葉に皆、驚いた!
本に閉じ込めた人がおばあちゃんの父親だった! そりゃ帰って来たのを知らなければ憤慨もするかも……。
「お待ちになって。 今、ティメオ様とおっしゃいました? その方、おじい様が様を付けてお呼びしているぐらいですからお偉い方なのではないのですか?」
あ、本当だ! マリアさんの言う通りかも。
「そうだな。この世界で言うと、総理大臣や大統領みたいな立場かもな。人間のトップだ」
って、おじいちゃんは淡々と述べたけど、私が想像しているより凄い立場の人だった! 会社の上司とかじゃなかったんだ!!
「すっげ~。俺のおばあちゃん!」
「それじゃ、捕まるはずだね! 早く誤解をといてあげないと!」
「そうだな。では……」
「ちょっと待て!」
話がまとまったかの様な流れに、おじさんは待ったをかけた。おじさんは納得していないのかな?!
アメリアは尋ねられるとスッとマントから精霊の本を出した。それを見たおじいちゃんは眉を顰める。
「この中に兄が閉じ込められています。出してあげてほしいのです! 無実なんです!」
無実って……。もしかして魔法の牢屋に入れられちゃったって事?!
「本当にそういう使い方をしておりますのね……」
マリアさんも驚いて呟いている。ハル君とカナ君もそれに頷いた。これって持ち出して来たって事なのかな? もしかして本に閉じ込めて保管してあるとか?
「もしかして、その本は向こうの世界から持ち出して来た物なのか?」
少しトーンが低い声でおじいちゃんは、アメリアさんに問うと彼女は頷いた。
おじいちゃんはそれを聞くと、大きなため息をつく。先ほどまでの笑顔はなく険しい顔つき。
「何故そんな事を……。どちらにしてもそんな事は出来ないな。ティメオ様がお作りになった本であろう?」
アメリアさんは、本を両手でギュッと握りしめた。
「兄が精霊の本を持って来るようにエリーヌさんに頼まれたと言ったのですが、ティメオ様は兄が嘘をついていると言って本の中に……。兄がそんな嘘をつくはずがないのです! リアムさんが地球にいると聞いて……。お願いです! 助けて下さい!」
最初は俯いて話していたアメリアさんだったけど、最後はおじいちゃんをまっすぐに見て懇願していた。
よくわからないけど、アメリアさんは誤解で兄は閉じ込められたから出して欲しいと本を持ってきたみたい。って盗んで来たんだよね、きっと。向こうの法律がわからないけどダメだよね……。
おじいちゃんは、腕を組んで神妙邪顔つきで考え込んでいる。
「あなたが言っている事は恐らく本当のことだろうが……。私が本から出す事は出来ない。だがティメオ様には説明してみよう」
「本当ですか! お願いします。ありがとうございます!」
おじいちゃんの言葉に嬉しそうにアメリアさんは頭を下げる。
「ちょっと、父さん! その人に協力するんですか?! その本って盗んで来たんですよね?」
「確かに断りもせずに持ち出してきたんだろう。だがその原因を作ったのはエリーヌだ。迷惑をかけたのだから当然だ!」
「迷惑? 父さんはエリーヌさんをご存知で?」
「お父さん、鈍感! おばあちゃんの名前、絵理《えり》じゃん。で、向こうの世界の名前がエリーヌ。だよね? おじいちゃん」
ハル君の説明におじいちゃんはその通りと頷いた。
つまりおばあちゃんがアメリアさんのお兄さんに本を持って来るように頼んだせいで精霊の本に閉じ込められたって事?!
「………。そ、それは、母が大変なご迷惑を……」
おじさんも理解したようで、アメリアさんに謝った。
「いえ、こちらこそ、すみませんでした」
「でも、どうしてこっそり帰ったんだ? 向こうの人は母さんが帰ったのを誰も知らなかったって事だよな? そのせいでアメリアさんのお兄さんが閉じ込められたのだし……」
「戻ったのを父親に知られたくなかったのだろう」
おじさんが私達の疑問を代表したかのように言うと、おじいちゃんはまた疑問が残る答えを返して来た。
「何でさ? おばあちゃん里帰りしたんだよな?」
「まあ、それは……。この世界で言うと家出だったからだと思うが……」
カナ君が質問をすると、思わぬ回答が飛び出した! 家出してきたと言う!
「家出! それでここにずっと居座っていたんですか? 孫ができるぐらいまで?!」
おじいちゃんの発言に驚いて、おじさんは聞き返す。
壮大な家出ですね……。異世界を渡るなんて……。
「まあ、駆け落ちでしたの?」
「いや、ただの家出だ。父親と喧嘩してな」
「ま、まさか。本当は恋人ですらなかったとかじゃないですよね? それなのに孫まで作ってしまったから帰り辛くなったとか言わないですよね?!」
「そんな訳あるか! れっきとした妻だ! エリーヌがティメオ様と喧嘩して出て行くと言うので一緒について来たのだ。前にこの世界に来た事があったから地球を選んだまでだ!」
おじいちゃんが慌てて弁解した言葉に皆、驚いた!
本に閉じ込めた人がおばあちゃんの父親だった! そりゃ帰って来たのを知らなければ憤慨もするかも……。
「お待ちになって。 今、ティメオ様とおっしゃいました? その方、おじい様が様を付けてお呼びしているぐらいですからお偉い方なのではないのですか?」
あ、本当だ! マリアさんの言う通りかも。
「そうだな。この世界で言うと、総理大臣や大統領みたいな立場かもな。人間のトップだ」
って、おじいちゃんは淡々と述べたけど、私が想像しているより凄い立場の人だった! 会社の上司とかじゃなかったんだ!!
「すっげ~。俺のおばあちゃん!」
「それじゃ、捕まるはずだね! 早く誤解をといてあげないと!」
「そうだな。では……」
「ちょっと待て!」
話がまとまったかの様な流れに、おじさんは待ったをかけた。おじさんは納得していないのかな?!