「え、なになに、どうしたの?」

 驚きをあらわにしたまま固まっていると、周りの友達が私の手元を覗き込む。

 と、そこには――。

【一位でゴールした。これから南和に行く】

 たったそれだけの簡素な文が書かれていて、しかもこれから、男子のゴールの碁石から女子のゴールの南和まで行くとある。

 まあ、南和は碁石までの途中にあるので戻ればいい。帰りも当然、迎えに来てくれた家族の車で帰るから、そこも問題ない。

 ただ、次にポコンと届いたLINEには、

【歩いて戻れば、宮野がゴールする時間にちょうどよくね? そこでりんごやる】

「体力底なしか……」

 気の抜けたツッコミしか入れられない。

 篠宮晄汰郎という男は、いったいどんな男なのだろう……? 私は改めて思う。

 とんでもない男と付き合いはじめたことだけは確かにわかるけれど、バカなんだか、なんなんだか、もうわけがわからない。

「あら~、お熱いね~」
「あ、でも、もしかして、このために一位を目指してたんじゃない? 早くゴールして詩を迎えに行きたかったから頑張ったのかも」
「そ、そう……なの?」
「いや、よくわかんないけど、なんかあの人なら普通にやりそうな気がする」
「ああ~!」

 そう推理した彼女の言葉に、周りの友達の妙に納得した相づちが綺麗に重なる。