「どうしたらいいの、はこっちの台詞だっつーの。……どうしたらいいの、本当に」

 だから嫌なんだ。

 蓮高の伝統行事だかなんだか知らないけれど、とんだ迷惑行事の夜行遠足も、ギンガムチェックとりんごパイも、月曜日も、恋とかいう目には見えない不確かなものに振り回される自分も、晄汰郎も、全部、全部。


 授業後、案の定、十秒としないうちに友達に机の周りを囲まれた私は、つい一時間前のことについて詳細な説明を求められた。金曜日の報告もしきりにせがまれて、私はとうとすべてを包み隠さず話すしかなくなった。

 とはいっても、たった十分の休憩の間では話し終えられるわけもなく、結局は昼休みの時間を丸々、尋問されることになる。

 けれど話し終わっても、私の心はすっきりするどころか、ますます混乱してしまった。

 私はいったい、どうしたいんだろう?

 その答えはいまだ出ないまま、午後の授業でもまた晄汰郎の首がカクンと折れる様を眺めては、ため息をこぼすだけだった。