好きな人を想って赤のギンガムチェックのお守りを作る。渡せたり、渡せなかったり、お礼のりんごがもらえたり、もらえなかったり。アップルパイを食べる先輩の姿を何組も見かけたし、逆の姿も見かけた。

　そういうのを全部ひっくるめて、これが青春なんだろうなと思ったし、青春っていいなと思った。そして、来年は私も――と。

　だから、晄汰郎と目が合うようになって、やっと私にもそのチャンスが巡ってきたのかもしれないと思った。だって、一度くらいは一緒にアップルパイを食べるところまでやりたいじゃない。女子の憧れじゃない。

　晄汰郎が相手なら、一年間温め続けてきた理想の青春にお釣りが出るくらいだ。

　そうして迎えた二回目の夜行遠足。

　でも結果は、あっさりすぎるほどにフラれてしまった。しかも好きでもないのに。

　これでは、ますます憂鬱になるだけだ。

　ただでさえ夜行遠足のことを思えば夏休み中から憂鬱で、本番一週間前ともなれば、どうにかして具合が悪くならないだろうかとあの手この手を尽くして体調不良を引き起こそうと密かに企てているのに、好きでもないのにフラれると、ある意味、好きでフラれるより精神的ダメージが倍増するような気がする
。

　同じクラスなのだから、なおさらだ。