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　「先輩、今日はたくさん歩きましたねぇ。俺、疲れちゃましたよ…営業で歩き回ってる新志さんを改めて尊敬します…」

　結城は片手でネクタイを少し緩ませながら深いため息をつく。
　今は一通り訪問先を回って疲れてしまったのでカフェで休憩だ。アイスロイヤルミルクティーを飲みながら、結城の様子を見る。

　結城は一見、軽そうに見える容姿ではあるけれど、仕事には真摯的に取り組む。自分の主張をはっきりと表示させる力もあるけれど、目上、目下関わらず意見や指摘があればそれを柔軟に取り込む柔らかさもある。

　前半の訪問先は広告代理店の椎名の元へ。千隼と鉢合わせするのではないかとドキドキしたけれど、そのドキドキは空振りで終わる。先日、椎名と千隼とが一緒に打ち合わせした際の件で少し変えたいところがあったので無理言って時間作ってもらい話をさせてもらったのだ。

　その後は都内のカクテルカレシの売り上げが良い店舗を数店周り、どの様にディスプレイされているかの確認をさせて貰う。本来なら日万凛の仕事では無いのだけれど、現場を知ることにより必要な販促物とか再確認できるかと思ったからだ。

　「結城くん、お疲れ様…ほんと、周防くん凄いよね。尊敬しちゃう。あ、今日ディスプレイ見させてもらって思ったんだけど…CMのDVD流してる店舗は売り上げがいいね。あのDVD、多分周防くんのお手製だよね……周防くんのエリア店舗だよね。販促物にモニターとDVDかSDを作るとかどうかな？」

　「あ、それ新志さんや他の営業の方も言ってましたから用意する準備を始めています。交渉中ですね。諸々の。」