私の悪阻と、あまり量は食べれないのを考慮して、パスタを2人でシェアする事にした。

他にサラダとスープを頼んだ。

待ってる間に、改めて結婚の報告と妊娠を告げると、驚きながらも喜んでくれた。


「改めて、篠田梨々子さん、結婚と妊娠おめでとう。これ、結婚祝いなんだけど、良かったら使って」


颯ちゃんの隣を望んでなかったとは言え、私の長年の想いを知る和歌ちゃんは、敢えて『篠田梨々子』を強調する。

大好きな人の姓に自分の名を連ねられたのは、私にとっても奇跡としか言えなかった。

篠田の響きにテレつつ、差し出された包みの大きさに瞠目する。

しかも重い!

その場で開いてみると、某ブラントの圧力鍋!

こ、これは……かなり嬉しい。

和歌ちゃんも、持って来るの大変だっただろうに……。

「圧力鍋ずっと欲しかったから、凄く嬉しい!ありがとう!」

「ふふ。りりお料理好きだから、あると便利だろうな~と思って。大きいからどうしようと思ってたけど、颯吾さんが迎えにきてくれるって聞いてほっとしたよ~。で、どうなの?新婚生活!」

「まだ一緒に暮らしてなくて……」


週末、颯ちゃんの待つマンションに引っ越す事を伝える。

まぁ、引っ越すって言っても、マンションに殆ど揃ってあるし、衣類を運ぶ程度で、そう大々的な作業はないんだけどね。

本当はお父さん帰宅後、最後に3人で少し暮らした方がいいんじゃないかと颯ちゃんと話し合ったんだけど。

もう入籍して、妊娠もしているんだから、親に遠慮せず颯ちゃんのところへ行くように両親に言われたんだよね。

颯ちゃんがずっと私の成長(身体(からだ)と言うより精神面?の)を待ってくれてたんだから、これ以上待たせるのも悪し、というのが両親の意向だった。

そういった経緯から、2人の休みである週末に、新婚生活をスタートさせる予定なのだ。

そして、話題は婚約者とされていた香織さんへと移行した。

先に、香織さんは自分の父親によって颯ちゃんとの婚約を捏造されたもので誤報だったというのは、結婚報告をした際に伝えてある。

和歌ちゃんは、どういった経緯で香織さんが婚約者だとされたのか真相が気になるらしかった。