そうと決まれば、まずは調査開始!
とにもかくにも、宮のあの性格。
絶対甘いものとか嫌いそう。
てか、バレンタインとか嫌いそう。
宮にいかにうざがられずに且つ不審がられずにチョコを渡せるかが勝負の分かれ目だ。
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調査①
甘いものは好きか。
「宮くぅん♡」
「ん?何?立山さん。」
この調査は簡単なはず!
だってちょっと聞き耳をたてていれば、クラスの女子が何度も聞いてくれるから。
相変わらずの爽やか外面で、宮はニコニコと女の子達の質問に答えていく。
女子A「宮くんってホワイトとブラックどっちのチョコが好き?」
「ごめんね、甘いもの苦手なんだ。」
*
女子B「ねぇねぇ、14日って何か予定あるの?」
「うん、その日バイトなんだ!(嘘)」
*
女子C「恭介、あんたにもついでにチョコ作ったげよっか??」
「そんなんじゃ本命に誤解されるぞ?」
*
女子D「甘いもの苦手って聞いたんだけど、コーヒー味のクッキーとかなら食べられる…?」
「ごめん、コーヒーも苦手で…」
*
平塚「俺も恭介にチョコ作ってこよっかな?♡」
「いらねぇよ?ぶっとばすぞ?」
昼休み、私と宮と結と平塚くんで空き教室でお弁当を食べていると、平塚くんが地雷をぶっこんできた。
宮は末にバレンタインデーがある今週に入ってから、貧乏ゆすりが止まらない。
お昼も普段の食堂を避けて、人気のない空き教室で私たちと食事を共にするくらいに女子たちから逃げている。
「チョコチョコチョコチョコ…って、
頭くるってんのかよ!いらねぇよ!
俺を糖尿病にする気かよ!!」
「ちょ、宮くん。どうどう。
気持ちはわかるけどさ、女の子達も宮くんにチョコをあげたいんだよ。ね?円。」
いや、ここで私にふられても…
「……知らん。」
結にギロリと睨まれるけれど、気づかないふりをする。