月曜日の一時限目から体育って、運動部の私でもさすがに嫌になるわ。でもまあ、今週末は夜行遠足だから、体育と言っても形だけで、ほとんど自由時間みたいなものだけど。


 緩くバドミントンをして遊んでいる同級生たちを眺めながら、朱夏はステージ下の壁に背中を預けて体育座りをした体を丸め、内心でそう思って苦笑した。

 隣では、同じように体育座りをしている朱里が「みんな見事にやる気ないなぁ」と同じように苦笑しながら、ぱーん、ぱーん、と断続的に鳴るラケットの音と、それぞれ仲のいいグループ同士で固まって雑談するみんなの声を聞いている。


 そう言う朱里も十分やる気ないよ。とは、言いはしない。

 苦笑混じりに首を動かして体育教師の姿を探すと、五十代前半だろうか、その教師も一応の注意はするものの、みんなのだらだら具合を黙認していた。


 夜行遠足一週間前の体育は、どこの学年でもこういうものらしい。去年もそうだったし、きっと来年もそうだろう。

 もっとも、男子は105キロの道のりを夜通し歩くという過酷さを極めているので、ネットを引いて体育館を半分に割った向こう側で、女子と同じくバドミントンをしている男子のだらだら加減は女子のそれとは別次元の代物だ。