小学生の頃からミニバスをはじめたくるりは、中学の部活でも迷わずバスケを選んだ。先輩後輩の上下関係は最初、とても厳しいものに思えたけれど、こういうものなんだな、とすぐに慣れ、別段不満もなかった。


 同級生の仲間もできて、経験者ということもあり、徐々に頭角を現すようになってくると、先輩たちからも可愛がられていった。

 もちろん一年のときはユニホームをもらってもベンチウォーマーだったけれど、ごく稀に交代で試合に出るように顧問から言われると、くるりと交代する先輩も、コートの中にいる先輩たちも、くるりを盛り上げようと盛んに声をかけてくれて、とても嬉しかった、という宝物のような思い出がある。


 中総体後に当時の三年生が引退して、一年後の中総体でも、三年に進級した当時二年生だった先輩たちが引退していった。

 くるりが三年になった代では県大会まで進んだが、結果は一回戦負け。先輩たちが引退した時期より一ヵ月ほど引退が延びただけで、そのあとはもう、受験一色の学校生活だった。


 懐かしいなあ……。

 だんだんと懐かしい景色が目に入るようになり、降りる駅が近づいてきたことを感じると、くるりはなぜか、目に涙が浮かんだ。