彼に言われた通り、ボクは精一杯、窓辺に身を乗り出した。
目を凝らして良く見れば、蛍だとばかり思っていた光の粒達は、ひとつひとつ形も色も違っているのが判る。
「蛍じゃない…何なの、これ?」
怪訝に首を傾げた途端。光の粒が一つ、ふっとボクの目の前に降りて来た。
そうして。微かな明滅を繰り返しながら、フワリフワリと虚空に円を描き始める。
(…何?)
思わず窓の外に手を差し延べると、光はスッと近寄って来て、ボクの掌に乗った。
「え──!?」
手の上に降りたモノを見て、ボクは忽ち凍り付く。白く光る玉の中に、見た事も無い《生き物》がいて不気味に蠢いていた。
「ぅわ──っ!?」
ボクは思わず、悲鳴を挙げる。
それは、全く奇妙な形をしていた。
頭部は鬼、下半身は蛇か竜の様に見える。
山羊の様に捻れた角が、二本。
口には、小さな牙まで生えていた。
「な、何これっ?!」
「魍魎(モウリョウ)だよ。水に棲む自然霊だ。」
「霊?──痛っ!!」
突如、鋭い痛みが走った。
魍魎がボクの掌を噛んでいる。小さな牙が食い込んで離れない。
痛みのあまり、ボクは慌てて手を振り払う。その途端…光の玉は、泡雪の様に熔けて消えた。
目を凝らして良く見れば、蛍だとばかり思っていた光の粒達は、ひとつひとつ形も色も違っているのが判る。
「蛍じゃない…何なの、これ?」
怪訝に首を傾げた途端。光の粒が一つ、ふっとボクの目の前に降りて来た。
そうして。微かな明滅を繰り返しながら、フワリフワリと虚空に円を描き始める。
(…何?)
思わず窓の外に手を差し延べると、光はスッと近寄って来て、ボクの掌に乗った。
「え──!?」
手の上に降りたモノを見て、ボクは忽ち凍り付く。白く光る玉の中に、見た事も無い《生き物》がいて不気味に蠢いていた。
「ぅわ──っ!?」
ボクは思わず、悲鳴を挙げる。
それは、全く奇妙な形をしていた。
頭部は鬼、下半身は蛇か竜の様に見える。
山羊の様に捻れた角が、二本。
口には、小さな牙まで生えていた。
「な、何これっ?!」
「魍魎(モウリョウ)だよ。水に棲む自然霊だ。」
「霊?──痛っ!!」
突如、鋭い痛みが走った。
魍魎がボクの掌を噛んでいる。小さな牙が食い込んで離れない。
痛みのあまり、ボクは慌てて手を振り払う。その途端…光の玉は、泡雪の様に熔けて消えた。