僕は少し笑顔になると、椅子から立ち上がり、駆け出した。
「コーチ、ありがとう。」
「ございます、な。」

コーチの突っ込みだって、もう僕の耳には届いてなかった。

三藤先輩、今いきますから。待っててください!

三藤先輩はやっぱりグラウンドにいた。
「三藤先輩。」
ビクッとして三藤先輩がこっちを向く。
その表情は困惑が浮かんでいた。

そんな表情にしたのは…僕だ。
「先輩、ごめんなさい。」
僕はすぐに頭を下げた。