着替えてゲートへ向かうと、そこは様々なユニフォームに身を包んだ生徒で混沌としていた。こんなにたくさんの部活動が一堂に会することなど滅多にない機会だ。それは壮観で、私は思わず見入ってしまった。
「凄いなぁ」
少し遅れて、藤倉君が同じような感想を口にしながら合流した。
「うん」
頷いて振り向くと、バスケ部のユニフォームに身を包んだ彼が立っていた。露出が多くて、目のやり場に困ってしまう。
おろおろしていると、突如陸上部の先輩が大声を張り上げた。
「円陣組むぞー! 集まれー!」
音頭を取って全員で輪になる。鞠がさり気なく私と藤倉君を隣にしてくれて、顔から火が出そうになった。だって、ただでさえドキドキしていたのに、藤倉君と肩を組むだなんて、もう心臓が止まりそう。
大好きな笑顔が、驚くほど至近距離でこちらに向けられた。
わ、私、汗臭くないかな?
同じように微笑みたかったけど余計に変な汗が吹き出してきて、笑顔と呼べたか分からない、そんな顔しか返せなかった。
「優勝するぞー!」
「オー!」
咆哮のような掛け声とともにみんなが組んだ肩に力を込める。そのせいなのに、藤倉君の腕が私を抱きしめたように感じて、体が硬直してしまった。
持ち場へ着くようアナウンスが流れ、メンバーが散り散りになり始める。
「エプロン可愛いね」
「へ?」
でも彼は、私の隣に未だに立っていて。
「これ、月島んちのにそっくり」
エプロンの裾部分に刺繍されている犬を指して微笑んだ。
私の頭は、はてなで埋め尽くされる。そこには、真っ白な大型犬。何故、ハナを知っているの?
でもそれを訊く前に彼は、行かないと遅れるよ、と私の背中を押した。
振り向けば、
「大丈夫」
かけられた声は、とても自信に満ちていた。何故そう言い切れるのか不思議だったけど、彼が大丈夫だと言えば、本当に大丈夫な気がするから不思議だった。
「ありがとう」
私は何とかそれだけ返すと、点呼が始まっている待機場所へと走り出す。手を見れば、驚くほど毛糸はびしょびしょになっていた。
「凄いなぁ」
少し遅れて、藤倉君が同じような感想を口にしながら合流した。
「うん」
頷いて振り向くと、バスケ部のユニフォームに身を包んだ彼が立っていた。露出が多くて、目のやり場に困ってしまう。
おろおろしていると、突如陸上部の先輩が大声を張り上げた。
「円陣組むぞー! 集まれー!」
音頭を取って全員で輪になる。鞠がさり気なく私と藤倉君を隣にしてくれて、顔から火が出そうになった。だって、ただでさえドキドキしていたのに、藤倉君と肩を組むだなんて、もう心臓が止まりそう。
大好きな笑顔が、驚くほど至近距離でこちらに向けられた。
わ、私、汗臭くないかな?
同じように微笑みたかったけど余計に変な汗が吹き出してきて、笑顔と呼べたか分からない、そんな顔しか返せなかった。
「優勝するぞー!」
「オー!」
咆哮のような掛け声とともにみんなが組んだ肩に力を込める。そのせいなのに、藤倉君の腕が私を抱きしめたように感じて、体が硬直してしまった。
持ち場へ着くようアナウンスが流れ、メンバーが散り散りになり始める。
「エプロン可愛いね」
「へ?」
でも彼は、私の隣に未だに立っていて。
「これ、月島んちのにそっくり」
エプロンの裾部分に刺繍されている犬を指して微笑んだ。
私の頭は、はてなで埋め尽くされる。そこには、真っ白な大型犬。何故、ハナを知っているの?
でもそれを訊く前に彼は、行かないと遅れるよ、と私の背中を押した。
振り向けば、
「大丈夫」
かけられた声は、とても自信に満ちていた。何故そう言い切れるのか不思議だったけど、彼が大丈夫だと言えば、本当に大丈夫な気がするから不思議だった。
「ありがとう」
私は何とかそれだけ返すと、点呼が始まっている待機場所へと走り出す。手を見れば、驚くほど毛糸はびしょびしょになっていた。