「彰(あきら)、聞いたか?」
「あぁ、転校生だろ」
直接聞いたわけではないが、これだけ話が盛り上がっていれば勝手に耳に入ってくる。
「可愛いみたいだぞ」
大和(やまと)が前の席に座りながら俺の肩をポンと叩いた。
「らしいな」
一年の時も同じクラスだった渡辺(わたなべ)大和はサッカー部のエースで、頭も良くテストでは上位常連。
身長は百七十二センチの俺より少し高いくらいだが、顔の造りは俺よりもはるかに出来が良い。
目は綺麗な二重で鼻も高く、パーツパーツがとにかくバランス良く配置されていて、男から見てもかっこいいと思う。
おまけにサッカー部のマネージャーと一年の頃から付き合っていて一途で男らしく、リア充っぷりが半端ない。
そんな奴が、どうして俺なんかと仲良くしているのか未だに謎だ。
最初に声をかけてきたのは大和だし、高校の友達で俺の家に初めて遊びに来たのも大和だった。
サッカー部が休みの時や彼女と遊ばない日は一緒に帰って飯食ったり本屋をぶらぶらしたり、俺の家に来たらお互いゲームしたり漫画を読んだり。
会話はそんなに多くないのになにが楽しいのか、一年の頃からずっとそんな関係が続いている。
どちらが誘ったとかそういうことはなく、なんとなくそうやって過ごすうちに、自然と大和は俺の友達になった。
人気者のお前がなんで俺なんかと一緒にいるんだ、とわざわざ聞くのも面倒だから聞いてない。