「普通の小さい子って、長い話だと飽きちゃうけど、むしろ私はそういう話のほうが好きだったな。

その分、いろんな気付きがあるし、物語に浸っていられる時間も長いから」


「なるほど……」



 物語の世界に浸っていられる時間の長さ。それも絵本を読むうえで大切なんだな。


そういえば今の僕は、すごく長い時間、彼女の書く物語の世界に浸っている。それってなんだか得してるな、なんて思った。


「両親にせがんで読んでもらったお話は、今でもすごく心に残ってるんだ」


彼女は今、昔読んでもらっていた物語の数々を思い浮かべているのだろう。


 人を元気付けたり、安心させたりする不思議な力を持つ森下さんのことを、僕は知りたい。

そのためには彼女がどんな絵本を読んできたかを知るのが近道だと思うから、

そういう話に僕は興味津々だ。