「逆にご主人様は人気があります」
スズメは目をキラキラさせて僕を見つめる。
「ご主人様はお仕事ができて、穏やかで優しくて顔がいいから人気者です」
「それは違うと思うけど」
「スズメはそれを聞いて鼻が高かったです。さすがうちのご主人様です」
自分の事をネタにされるのは恥ずかしい。
「きっと誤解。そういえば今度若者向けの目薬を出すんだけど、どんな目薬に興味ある?」
人とズレてるスズメなので
参考になるとは思えないけど、話を変えたくて聞くとスズメは無表情になり
「……しみない目薬」って、聞こえない声でボソボソっと一言。
ん?
「若者のドライアイとか深刻だし、眠たい授業中に目を覚ませるような強烈な商品を考えてるんだ」
「しみないの」
目を細めて僕に言う。
「いや、しみないじゃなくて、もっと強烈でインパクトのあるのがいいかと」
「しみないの!」
これだけは譲れない。
そんな勢いで僕に言い、プイと台所に立ってクッキーをまた焼き始めた。
しみない目薬がいいの?
しみない目薬。
ビタミンいっぱい入れて
使用者を甘やかすぐらいの優しい目薬
&
爽快に目覚めるクールな目薬
その二種類をつがい……じゃなくてペアにするとか。
つがいって
誰かさんに影響されてる自分。
それで考えてみようか。