食事を取って
イルカのショーを観て
また魚を見て

ラストに売店へ

「何か欲しい物ある?」そう聞くとスズメは「めっそうもない」って首をブンブン横に振る。

「連れて来てもらっただけで幸せです。こんなに嬉しい幸せな日は生まれて初めてです」

「大げさだよ」

「本当です。ありがとうございます」

「はいはい。あ、これスズメに似てる。どこか上から目線」

近くにあったラッコのぬいぐるみを彼女に見せると「可愛いじゃないですかっ!」って怒ってからニンマリ笑顔。

「イルカも可愛いかも」

「イルカはご主人様って感じですね。あ、カメ!亀山だからカメでしょう」

おいっ!

「カメはどこかな。カメさーん」
歌うようにスズメは亀のぬいぐるみを探して僕に渡す。
キラキラした目はやめなさい。

これ以上ないくらい遠慮するスズメを横目で見ながら、ラッコとカメのぬいぐるみを買ってスズメに渡すと

「どうしよう。嬉しすぎます」ってまた涙目。

「もう帰る?もう少し観る?」

「もう少し観たいです」

名残惜しいのか
元気いっぱいでまた歩き出すスズメ。
明日は筋肉痛になるかも。

スズメはあちこち歩き出し、僕はお供のように付いて歩いた。
そして日が暮れる時間にレンタカーに乗り込むと、たった10分でスズメは目を閉じ眠りにつく。

予約したレストランに着くまで寝てなさい。
どうせ昨日は嬉しくて寝てないんだろう。

そっと僕は手を伸ばし
愛しさにこらえきれなくなって
彼女の髪を撫でた。

笑っちゃうね
逆に別れがつらくなったかも。