放課後のグラウンドは賑やかだ。
堅苦しい授業で凝り固まった体を解放させるかのように生徒は動き、各部活の様々な音が行き交っている。
たまに吹き抜ける風が涼しい。晴れた青空の下。
私は色んな意味で顔を強張らせていた。
「サッカー部野球部ラグビー部、その他汚れた物があるみなさん! こんにちは、洗濯部です!」
「ちょ、ちょっと待ってください先輩……! こ、これは何の罰ゲームですか?」
意気揚々と先頭を歩く日向先輩。その背中に引っ付きながら声をかけると、何言ってんだ、と不思議そうな声が返ってきた。
「見りゃ分かんだろ。部活だよ」
「いやいやいや、え、えっと、え?」
「どうもみなさんこんにちはー! 汚れた物はありませんか! 洗濯部です!」
困惑する私を放ったらかして日向先輩は声を張り上げる。
嘘だろ、と思いながら後ろを振り向けば紫苑先輩。
「し、紫苑先輩、……日焼け対策ばっちりですね」
「五月の紫外線って油断できないのよ。だから私は部室で待ってるって言ったのに」
そう言って不貞腐れている紫苑先輩はよっぽど焼けるのが嫌らしく、日傘を差してサングラスをしていた。
ちなみにさっき五号館二階の空き教室――部室を出る前にはSPF50+の日焼け止めを塗りたくっていた。
意識の高さに恐れおののいていると、ハッとしたように紫苑先輩は後ろを向く。
「ちょっと真央くん、自分だけ逃げようとしないでくれる?」
「……」
紫苑先輩に首根っこを掴まれて、ちらりとこちらを見た真央くんは、面倒くさいというオーラを全身から醸し出している。
眉間に皺を寄せて、不機嫌そうに口をへの字に曲げていた。