翌日午前中に母は実家に帰っていった。

駅まで送ると言ったのだけど、
「この暑い最中にみなみちゃんを連れ出すのはダメ」
と怒られてしまった。

でも、お母さんがいなくなったら、連れ出さないわけには行かないと思うんだけど……。


「買い物や病院なら仕方ないよ。でも、みなみちゃんはあんたよりも全然この世界に慣れてないんだからね。あんたが思うより無茶が利かないってことだけ覚えておきなさい」


大雑把で天然の母にしては、強い言葉だった。
子育ての年季を感じる。
ママの大先輩なわけだ、この人は。

母は言うだけ言ってあっさり帰路についた。
荷物は送ってしまったから、身ひとつで呑気に気楽に。
来た時と変わらず、なんの未練もない後姿。

ま、群馬はそれほど遠くないもんね。
新幹線で一時間くらいだし、すぐ会えるか。