異世界の国々が驚いた異界国家日本は本当にすごーいデス~ネ

アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月30日・午後23時12分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・日本国及び自衛隊専用区画港にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





大陸派遣隊として派遣配備されていた2機種の戦闘ヘリ部隊が、かがに着陸を始めていた。



 その指揮を執っているのは東地秀矢一尉、戦闘ヘリ部隊の総指揮を任されている黒田一尉とは同期の入隊だが、任官の順番の関係で、AH-1S戦闘ヘリコプター(コブラ)隊を扱っている第二部隊の隊長をと成って居る。







かがの艦橋には、普段はひゅうが艦長している成田剣侍一佐が、積み込み入れ替え作業の総指揮を出発前の事務作業中で忙しい置鮎一佐に代わって指揮を執っていた。



 各部隊の幹部達は、今は会議で居ない上司に代わって無茶なスケジュール調整の辻褄を合わせる為に、懸命な作業を行っていた。





 他の所も同様である。





「よし、着艦完了だ。やってくれ。」







「了解。」







東地一尉は、自分の隊を先にかがに詰め込んだあと、黒田一尉の部隊を順番に甲板のエレベーターで内部へと誘導する作業を海自隊員と共に行っていた。





ひゅうがの甲板では井上一佐の部下達が作業をしていた。







「ふうーっ。」







「どうした?疲れたなら交代しろ。」







「いいえ、ハードですがまだやれます。」







「そうか、だが無理はするな。事故に成るからな。」







「はい。」







艦橋の艦長席では成田一佐が、かがの隊員と共に工程表を見ながらの作業管理に追われていた。





「あと30分したら、今の連中を休憩させろ。」







「はい、分りました。」







「スケジュールに遅れは無いか?」







「はい、何とか午前三時には終わりそうです。」







「翌日に艦を動かすまでに交代させられそうだな。」







「はい、それは問題無く。」







「まったく、無茶な事を言って来るもんだよ、雑用大臣様は・・・・・・・・・」







その雑用大臣に対しての皮肉と悪態を言いつつ、成田は作業を進める。











 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前6時00分・ユーラシナ大陸・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・万代藩・万代港・防衛省・新世界アースティア・ユーラシナ大陸調査自衛隊派遣隊総司令部・万代支部・自衛隊宿舎にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 そして、明けて翌朝のこと。





それは突然に始まり、彼らに取って当たり前の日常の風景の一つである。





 起床ラッパが、万代港に建てられた自衛隊基地の各地で鳴り響き、職業病とも言われる規律正しい彼らが行動を始める。







「総員起こ~し。」







「起床、起床、急げーっ。」







ベッドのシーツ、毛布、布団、制服、ロッカーの中身に至るまでキチンとして居ないと、怒られるだけでは済まない。





 一発で全てを終わらせ集合場所に来ないと後が怖い。





 何故ならば、怖ーい上官達に、怒鳴られるからだ。





「ふあぁぁーっ、なぁ~に?」







「あら、瑞樹、起きちゃった?」





眠そうに目をこする瑞樹。



 普段、彼女らはこんなに早く起きたり、騒がしく起床したりしないのであった。



 まだ、この世界の軍隊は近代的な考えを持って居ないからである。





 作戦や軍事行動をして居る場合を除いてたが・・・・・・・・・・・・・・・・







「何なの?」





「どうも、これが自衛隊のやり方らしいのよ。さっき女性の士官が来て、起しちゃいましたかって言われたのよ。」





既に着替え終えている同僚が目の前にいて慌てた。





「もう、出発?」





「違うわ。あたしは何時もの時間に起きただけよ。瑞樹はいつも夜が遅いでしょう?」





「それでも凄いわね。毎日、それも非番以外では、これを何時もやって居るのですもの。」







「出港50分前。」







港から出港時間に付いての放送が、館内と館外に向けて放送が流れて来る。







「もう少ししたら、お迎えが来るって言われてるわよ。」





日本側は自衛隊の規則を知らない彼女達に気を使って起こしに来ると事前に説明していた。





 するとドアをノックする音が聞えた。





「おはよう御座います閣下。」





 やって来たのは三石2佐だった。





 女性が使っている部屋なので、男性には任せられない事であるからだ。



女性自衛官が増えたとは言え、全体から見ればまだまだ少ない事には変わりない。





 それに女性の部屋を無闇に覗くと、少年ラブコメ漫画の様なラッキースケベなーんて、イベントのフラグをリアルに立てると色々大問題でもある。





「あら、琴実さん。お迎えご苦労様です。ちょっと待ってて下さいね。」





「はい。」





手荷物は事前に纏めてある為に、瑞樹の方は、後は着替えるだけだった。





 着替えが終わると洗面所で顔を洗い身だしなみを整えて、二人揃って部屋を出た。





「お待たせしました。」





「では行きましょうか。お二人は、かがに乗船して頂きます。部屋はあちらの女性自衛官と相部屋になります。」





「ベッド等が狭いですので、ご注意を。」





「あらあら、あたしの胸が閊えなければ良いのだけれど・・・・」





三石は千棘の胸に目をやると、アニメ漫画の様に言う擬音が聞こえそうなくらいにボインと主張する大きなバストが聳え立つ、それを見て確かにと思った。





3人は、かがの停泊地で別れると瑞樹と千棘の二人は、そのまま三石は自分の艦であるきりしまに向かって行く姿を見送りながら、かがの艦内へと入る。



 かがの艦橋で置鮎一佐に到着の挨拶をすると彼は、内線電話で食堂の状況を聞くと出港後の方が空いていると言い。





 どうせなら出発前までの時間を使って一緒に朝食と言う話に成った。







 3人の食事が済む頃合いには、いよいよダバ派遣艦隊の出港時間と成って居た。





「汽笛・警報機試し方開始。」





汽笛及び警報機の点検の為に警笛等を鳴らす。ブオオォォォぉーッと言う音が各艦から鳴り響く。





 湾内から響く大きな音に万代市民はビックリするが、何だ出港かと二度寝に入る者が居る中で、作業準備は続けられた。





「機関試運転よーい。警戒配置に就けーーっ!」





 慌しく進む出港準備、置鮎はある指示を出した。





「湾内の沖合い停泊する各艦に通達、航行予定の進路上の漁船、商戦、民間船の位置の報告、誘導を求むと伝えろ。」





「はい。」





「はやぶさ隊は10分早く先行し、進路を確保!」





「了解。」





「機関試運転終わり、結果良好。」





「舵・通信異常なし!」





「周辺に接近するものなーし。」





「いせから入電、進路上の船舶の誘導を完了。現在の所、船舶は確認されずとの事です。」







「出港30分前。」







「司令、出港30前になりました。各艦出港準備作業に入ります。」







今かがの指揮を執って居るのは、笹沼彰二佐である。





 これは置鮎が全体指揮を執って居る為、副艦長の職に在る彼が、かがの仕事をしていた。





 護衛艦それぞれの航海科の海士長が全艦放送のマイクで放送を流す。





「出港準備!」





警戒閉鎖は『警戒閉鎖』を行う。



 艦内閉鎖は『警戒閉鎖』と『非常閉鎖』があり、『警戒閉鎖』は通常航海時に事故が起きた場合に備える閉鎖で、まだNBC攻撃や通常型ミサイル等での攻撃による被弾や火災、浸水には備えていない状態である。





よって通風口やウィングのハッチは閉じない。





 非常閉鎖は合戦準備がかかると実施しなければいけない。





「艦内警戒閉鎖。前部員錨鎖つかめかた。」





投錨し、海底に埋まっていたメインアンカーの巻き上げ作業が開始される。





 ガタガタと音を立てながら重い鉄鎖をウインチが巻き上げて行った。





 艦内では、暫くしてから報告が上がって来る。





「艦内閉鎖のチェック終わり、不良箇所なし。」





 笹沼と各艦の艦長らが一斉に指示を飛ばす。





「航海当直番配置につけ。」





「出港10分前、はやぶさ隊、先行出港するとの通信あり。」





指示を出している艦長らは腕時計を見つつ出港時間を待つ。





 錨の巻上げが終われば出港となる為、時間になるまでは途中で錨を止められるのだ。







各艦の艦長の声がスピカーを通して響き渡る。







「出港3分前、ラッパ用意。」





 ラッパは若い航海科の海士が担当するる出港準備を終え、出港へと直結する出港用意と同時にラッパを吹奏するのは、旧海軍からの伝統である。





「出港一分前・・・・・・・」





「ラッパ用意よし。」





ラッパ手がラッパを手に用意する。







 港には外交団の要人、竜史や自衛隊幹部、万代藩のコヨミ皇国関係者が見送りに来ていた。





「出港用意。」





艦長の一言の声に、各艦のラッパ手が一斉に勢い良く、それでいて軽快に出港ラッパを吹奏した。





 そして、一斉に当直の各艦の海曹が全艦放送で叫んだ。





「出港よおおおぉぉぉぉーいっ!」





 数秒の短いラッパ号令だが港と艦内の自衛官、皇国軍人らの気を引き締めた。





 各艦の艦長が命じる。





「錨を上げーっ!」





甲板で錨の巻上げが再開し巨大なメインアンカーが船首に収まる。







「甲板片付け。」





「錨甲板よろしい。各艦共に分かれて通常航行を開始します、司令。」





しばらくして作業が終わり、手の空いている者達と艦の操舵に関わりの少ない者達は港に向って敬礼と帽子を振って見送りの感謝と航海の無事を誓って出港して行った。







程なくして艦隊は、万代湾を抜けて海上にて合流、艦隊陣形を取り一路をパイプ・ライン大河の入り口へと向うのである。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前8時46分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市・ロウデニィオ城・ロウデニィオン騎士団司令部内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





万代湾を抜け、その沖合いで、はやぶさ隊と合流し、艦隊陣形を輪形陣に整えた。





 先頭には、偵察隊の役目も兼ねた小回りの効くはやぶさ型ミサイル艇7隻が先頭を警戒しながら先行航行して行く。



はやぶさ型ミサイル艇は以下の通りと成って居る。



はやぶさ、わかたか、おおたか、くまたか、うみたか、しらたか、とんび。





 続く護衛艦あかつき・ひびき・いなづま。海洋観測艦しょうなん。



 中衛に入ると護衛艦きりしま・あしがら。



 ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが。



  輸送艦あつみ・もとぶ・みうら・おじか・さつまと続く。



後衛に入るとヘリコプター搭載護衛艦かが。



 多用途支援艦ひうち・すおう・あまくさ。



 補給艦ましゅう・おうみ。掃海母艦うらが。





 揚陸護衛艦つがる・おしま・おが・おもえ・まつまえと成る。



 最後尾を護衛艦しらつゆ・しぐれ・すすかぜを殿とした。



 左備えを護衛艦いかづち・くらま。



 右備えをとね・ちくまと成って居る。





出港から2時間が経とうとして居た頃、間も無く第1通過点であるラクロアナ王国領・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市と言った州都に挟まれて居る境界線付近にも成るパイプ・ライン大河河口水域へと入る。







 コヨミ皇国の北に位置し、ラクロアナ王国側からすれば、パイプ・ライン大河の河口水域で、二つの州都は大河沿いに造られ、大河を挟んで北西方向から南に向って町と街道が延びて居る。

 

 北に在る州都がグラッグ州 ・ゼングリラ市。



 南の州都がシャン・ライア州・ロウデニィオン市に成って居る。



 互いに小高い丘に沿って城が築かれ、南方と東西貿易によって栄えて居る都市だった。



 この日の港には、コヨミ皇国側からの事前通達があり、ニホン国なる国の海軍艦隊がパイプ・ライン大河を通過して、西方のダバード・ロード王国へと向うとの連絡が入って来ていた。





 ラクロアナ王国軍としては、他国の軍隊が、ただ通過するだけを拒む理由は、特に無い。



 その目的が武力侵攻ではない限りは・・・・・・・・・・・・・・・



ラクロアナ王国軍は、ロウデニィオン市と川向こうのゼングリラ市の港や砲台設備、監視塔や砦に多くの兵士が集まって居た。





 両岸の各所に国旗と軍機、部隊旗を掲げて立って居る姿が見受けられた。





このパイプ・ライン大河は、世界最大の大陸であるユーラシナ大陸を東西南北を縦断して居る。





 この世界でも指折りの巨大な大河である。





川幅が約30キロ以上あり、水深が深い所で約15メートル以上は在る。





 名前の由来は、呼んで字のままである。





 パイプを繋いだ様に、各川同士とが繋がり合って居る所から付けれられて居た。





そして、このロウデニィオン市を防衛しているロウデニィオン騎士団。





 此処に駐屯する軍勢は、ロウデニィオ城を拠点として居り。市騎兵が1000人、歩兵が4000人、輜重隊と弓兵砲兵が合わせて2000人、全軍で7000人が守りに付いて居る。



 対岸のゼングリラ市には海軍が7000人が警備をしていて、同国の河口守りに付いて居る。





 現在、此処の責任者となっているのはアリスティア・レックスと言う。





 親しいもの達からは、アリスと呼ばれて居て、歳の頃は18歳である。



 アルガス皇国のマッケンジー家からレックス家に養子に出された過去がある。





アルガスには、騎士団長しているクリスティーナ・マケッンジー、通称クリスと呼ばれている双子のの姉がおり、髪の長さ肩まで有るが、姉が銀髪でアリスは金髪で、その見た目は良く似ていた。



 だが、姉妹揃って少しだけ困った所が有るのだが、其れに付いては間も無く分かる事と成る。







「アリス隊長っ!!アリス隊長っ!!」



「相変わらずお姿が見え・・・・・と言うか気配が感じられ辛いな?」



「おい、アリス隊長は何処に居られるのだ?」





同じ歳でロウデニィオン騎士団の副隊長を務めるアムリア・レイと言う女騎士は、アリスを探して居た。





「はぁ?また何ですか?」



「隊長は、影が薄いせいで、例えその辺を歩いて居ても、誰にも気付かれないか、只の冒険者扱いされて、身分が有る騎士様には見えねぇ~し~な。」





そう、彼女は幼い時から影が薄く、何をやっても普通の平凡以下の人であると見られてしまう。



 その余りの影の薄さに彼女を知っている人達からステルス・アリスとまで言われて居た。





 また、姉のクリスは、逆にどんな状況でも目立ってしまう体質を持って居た。



 アリスの体質は、戦地でも敵に無視される程の薄さで、集団で戦っても敵の大将や警護の者達にも無視されてしまう程だった。



 この有り得ない能力のせいで、常日頃から苦労して居るとても残念な女騎士なのであった。







「あ~な~た~た~ちっ!!私は此処に居るんだけれどもっ!?」



「アリス隊長?」







「何処?、何処ですか?」





「たい~ちょ~う。」



「声はすれども、お姿が見えず・・・・・・・」





「気配すら分からない。」



「毎度っ!毎度っ!何て面倒な・・・・・・・・・・・・・・・・」



キョロキョロと部下達が港にある騎士団の詰め所内を見回すが、全く見当たらない。



 アリスと言う女の子は、とある三国戦記美少女ゲームに出てくる地方領主以上か、とある北のファミレス漫画に出てくる引き篭りな上に不登校をしているJK以上に影が薄かった。



 正にゴースト、気配が薄い、存在が無い、帝国にすら彼女の名前が各国の要人名簿にすら載って居ない所か、密偵にすらその存在を知られて居らず、隊長を務めているのが副隊長アムリアと言う事にすら成ってしまって居たりするのだった。





「えーっと、あっ?!」





目がこの詰め所の隊長席に目をやると、すぅーっと、その姿が幽霊が現れた様にして、その姿が周りの人にも認識が出来たのであった。





「あっ!?居たっ!?隊長っ!何時からそこにっ?」





「ずっとずっと、ずーっとっ!此処に居たんだよっ!」



「もう、みんなもいい加減に慣れてよっ!」



「わたしは泣ちゃうよっ!ううっ、お姉ちゃんっ!みんなーっっ!」



「此処じゃっ!わたしを気にしてくれる子が、一人も居ないよおおおおおぉぉぉぉぉぉーーーーーーーっ!!」



 そのみんなとは誰かと言うと、幼馴染であった紅葉とその友人達の事である。





 アリスは、その親友以外に、存在を気に掛ける者達が、とても少なかったのであった。





 更に数年間の間、会っていない親友の中にも変化があり、かつて自分よりもとても地味な女の子だったリナが、今はスタイル抜群の爆乳女の姿に成って居る等とは、夢にも思って居ないのだった。



 更に双子の姉の方が、逆にも物凄く目立つと言う正反対の能力見たいな物を持って居るので、姉のクリスは、何時も周囲から貴女の妹は、今何処にいるの?とか、毎回言われて居たのである。





 二人揃って初めて普通に過ごせると言う凸凹な双子で、両家の親族達は、二手に分かれさせたのは、失敗だったかもと言い合う始末。





「あの~隊長、そろそろニホン海軍が通過するとの時間に成ります。」





「ああ、そう言えば紅ちゃんから色々と便宜を図って念を押されのよね。」





「くれちゃん?」





 副隊長のアムリアは聞き慣れない人物の名に首を傾げた。





「紅ちゃんって言うのわね。コヨミ皇国の紅葉皇女殿下の事だよ。わたし十年来の親友で幼馴染なんだぁ~・・・・・・・」





「その様な高貴なお方とご友人とは、後で馴れ初めを聞いて見たいですね。ですが今は・・・・・・・・」







「もうっ!分かってるよぉ~っ!」





「今はお仕事、お仕事だよね。」





「ニホン海軍の通過を見届けるよ。国旗、軍旗、騎士隊旗など掲げ、盛大に出迎えて見送るよぉ~。後は礼砲の準備を怠るないでねっ!」





「はっ、了解ですっ!」





アムリアや他の部下が敬礼の後、部屋を出て行くのを見送ると、一通の手紙とこの国に無い精巧な絵が描かれている紙があった。



 それは写真である。





 写っていたのは、この手紙の送り主である紅葉であった。





 アリスは写真を持ち、遠くて近い地に居る友を思うのだった。







「お互いに落ち着いたら、また会いたいね。紅ちゃん。昔のように・・・・・・・・・・・・」





 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前9時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・グラッグ州 ・ゼングリラ市及びシャン・ライア州・ロウデニィオン市・パイプ・ライン大河・河口湾付近水域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 ダバ派遣艦隊の先陣を行く、はやぶさ型ミサイル艇7艇が、三角系の型の陣形を組んで進んでいた。



 はやぶさ隊の旗艦であるはやぶさの艇長である石井竜三3佐が、河口付近の港の状況を艦隊旗艦であるかがに伝えられる。







「此方は石井っ!河口及び進路上に船舶無しっ!なお、両対岸に現地軍の儀礼隊の見送り有り、以上。」







「了解っ!引き続き先行しつつ、情報を伝えられたし・・・・・・・」







「置鮎一佐っ!間も無くパイプ・ライン大河内に全艦隊入ります。」



「観測班隊の海洋観測艦しょうなんから入電です。水深の深さに問題無し、全艦前進に支障無しとの事です。」







置鮎一佐は、ダバ派遣艦隊の全艦隊に命じる。





「全艦前進せよっ!なお、手の空いて居る者は、両岸のラクロアナ王国軍に対し敬礼。指定、礼砲の変わりに汽笛にて返礼。」







「はっ!各艦に通達っ!ラクロアナ王国軍の礼砲に対し、汽笛にて返礼っ!」







通信士がダバ派遣艦隊の各艦に命令を伝えると、同時に付近から大砲による礼砲が聞えて来る。



 両岸には国旗を始め、王国関係の旗が並んでいた。





 アリスは、ロウデニィオン市に駐屯する各隊の代表を集めて精一杯の出迎えをしてくれて居た。





「おおっ!?アレがニホン海軍・・・・・・・・・・」





アムリアはニホン海軍・・・海上自衛隊の護衛艦隊のその堅牢な勇壮、鋼鉄の要塞艦隊の姿を見て言葉を失っていた。



 各艦には自衛隊旗である朝日旗と日の丸国旗が掲げられて居る。





「確かにスゴイなぁ~っ!紅ちゃんが言うだけの事あるねっ!」







「はい。」







「だが、見惚れて居る暇は無いよっ!各隊、礼砲撃ち方始めーーーーっ!!」







「はっ、礼砲っ撃ち方始めっ!!」







ズドーンと言う大砲の轟音が川の両岸から聞えて来た。





 対するダバ派遣艦隊の各艦から汽笛が音が聞えて来た。





 今回の航海には、礼砲に使う空砲用の弾頭を持って来て居ない。





 輸送する船がギリギリであり、戦闘が起こる可能性も想定しての事である。





 更に礼砲を撃ち返えす事ができない事を紅葉が手紙で手を回していた。





 コヨミ皇国皇女の肩書きは伊達では無いし、ロウデニィオン市の防衛をして居るのは、紅葉とは10数年来の彼女の親友である。





「総員っ!ラクロアナ王国軍、ゼングリラ市、ロウデニィオン市に駐屯する全ての軍に対して敬礼っ!」





護衛艦隊の各艦長を含め、手の空いて居る隊員達は、対岸の王国軍に対して一斉に敬礼をした。





 ラクロアナ王国軍の人達は、ニホン海軍の規律の良さに舌を巻いたと言う。







この日、両岸の港の通行規制と物々しい警備が行われ、儀杖隊と礼砲用の大砲がズラリと並んでいた。





 この光景を物見高い市民の人々は、ニホンと言う聞いた事も無い謎の国家の海軍を見て、どんな国だろうと思いを馳せていた。







「うああああぁぁぁぁぁーっっ!すげーっ!!すげーっ!!すげーよっ!!!あれって、如何やって浮かせて居るんだよっ!あの船はっ!!」







とある若者は海自艦隊を見て衝撃を受けていた。







「本当だな。この世界で空挺や魔動陸船含めて巨大な船を動かす物が、それら以外にも存在するなんてなっ!!!」







その横で学者らしき男が海自艦隊の護衛艦を見て、どうなっているのかを考察している様だった。







もう、この世界では、かつての超文明の史実を知って居るのは、政府関係者、系列の子孫、知識人に技術者関係等くらいだろう。



 この様に一般人の殆んどが超文明の史実を知らず、教育を受ける機会が得られない故に、この様な発言がどうしても目立ってしまう。



 やはり、彼等の様な者達全て対して、教育を受けさせるには、莫大な予算が掛かるのは目に見えている。



 昔は誰しも受けられた時代や国が在ったが、文明の衰退した状態では無理もない話しだろう。





「アレは何処の国の船だ?」







「確か王国軍とシャン・ライア州知事とグラッグ州知事の発表じゃ、ニホンと言う国らしい。」







「何処の国かは知らないが、スゴイな日本。ひょっとしたら、帝国よりも優れて居るかも知れないな。」







此処に居る多くの市民や下っ端の兵士らは、目を丸くしてダバ派遣艦隊を見ていた。



 巨大なヘリ空母、見たことも無い一門ないし二門の単砲塔を持った戦艦。砲台を持った小型艇、巨大な輸送艦が何隻も次々と通過する姿は、スゴイ、スゴイと口々に言って居るのだった。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前9時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・パイプ・ライン大河河口付近地域・ラクロアナ王国・シャン・ライア州・ロウデニィオン市内・宿屋ローライナにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







ラクロアナ王国で、日本を知って居るのは、ラクロアナ王政府と王都のアデニューム市とアデニューム州内に、ドナルク川の河口のあるニュウヤーク市の在るニュウヤーク州の州政府と国民達等が知って居た。



 それは今月中に行われたラクロアナ王国・ロシア共和国・日本国から成る三カ国の暫定協定の締結会議が、王都のアデニューム市で行われた。



 これはラクロアナ王国の軍や国民が、ロシアとの様々なトラブルを避ける為に開かれた会議であった。





 日本の外務省と交援省が仲介の音頭を取って、滞りなく締結されて居る。



 この時に外交団を乗せて来た護衛艦と巡視船、ロシア側は駆逐艦と警備船で現れたので、王都から河口付近に至る地域では、ちょっとした大騒ぎと成った。 





この時フラン王女は、出きうる限りの御持て成して出迎え、歓迎するなど、政務の成れない彼女の精一杯の事を父に成り代わって行った。



 日本とロシア側は、初めて訪れた国なので、レビル国王に挨拶をと、二か国の使節団の面々は、国王の謁見を申し込んだが断られてしまう。



 これはコヨミ皇国側でも知らなかった事だが、どうも最近のレビル国王は、長年の無理が祟って具合が宜しくないと言うのだ。



 其処でその話を聞き付けた日ロ使節団は、日露双方の医官が派遣され、病状を診察した所、過労な上に肺炎になり掛けて居たとの診断が成された。



 急いで治療の為の応急処置を取り、病状が落ち着いたら札幌の病院に移さないかと提案した。





 他にも腰の具合も良くないとも聞くと、尚更に札幌の設備の整った病院に入院を勧める。





フラン王女は入院費用は、必ず工面するので何とか助けて欲しいと頼むと、外務省と交援省の両職員は、何て父親思いの健気な王女だろうと感じ入り、その場に一緒に居たロシアの外交団の一団と共に感動したと言うのだった。



 何時の世でも医療費は掛かる。この世界でも変わりはないのだ。



 特に医者には気軽に掛かれる制度や保険もこの世界には存在して居ない。





 其処で日本が、国王の医療費を3割ほど補助すると言う形を提案した。





本当ならラクロアナ王国と王室に目一杯に貸しと恩を売れば良いのだろうが、フラン王女は妙な所で義理堅かったする。



 ロシア側は、港町に日本と共同で医療支援の医院を建てると事と定期的な医師の派遣を決めていた。



 まぁ、彼の国も恩を売りたいのは分かる気がする。今後の為にもと言う考えだろう。



 こうして、寸での所でレビル国王は命が助かったりする。





 皆さん、肺炎や喉の炎症などの病気の初期症状は舐めてはイケナイ。





 予防を含めた早めの診察と治療をお勧めする。





 仕事の都合でその様な病状を見逃したりして亡くなる方も結構な確率で居るからだ。







「アレは一体、何処へ行くんだろう。」







「さあ、州や軍、それに王国政府から何も知らされて無いわね。」





ラクロアナ王国の人々は、ニホンとか言う未知の国家の国力と技術に驚嘆をして居る中で、密かに動く帝国の密偵らの動きがあった。







「こんにちは、今日は良い天気ですね。女将、部屋は空いていますか。」





「ええ、空いていますよ。部屋へは、あの者がご案内を致しますわ。」





一見して、何の変哲のもないありふれたやり取りの会話に聞える。



 旅の行商人と町宿女主人の応対にしか見えないが、二人の雰囲気は、何処か普通には見えないものが有った。





「そう言えば、港や町ではお祭り騒ぎ見たいですね。何かご存知無いですか?」





「ああ、何でも何所か他国の海軍の艦隊が、このラクロアナ王国領内を流れているパイプ・ライン大河を通過するらしいのよ。」





「ほう、それにしては、ドえらい騒ぎですな。」





「信じがたい話なんですけど、何でも魔法を使わない巨大な鉄船が通過するらしいわね。」





「何処の国だか知っていますかな。」





「ニホンとか言うらしいわ。」





「そうですか、いやいや珍しい事もありますな。どうもありがとう。」







「いいえ、ごゆっくりどうぞお客様。そこの貴女、お客様をお部屋にご案内して差し上げて。」





「畏まりました。」







行商の男は、回りに見ない様に預ける荷物の中に、それなりのお金をそっと入れて渡した。



 そう、この二人は帝国の密偵である。





 帝国の密偵は、あらゆる手段や方法によって各国の中に溶け込みながら潜んで居るのだ。



 ある人は行商人。

 

 ある人は娼婦。



 ある人は教師。



 はたまたある人は学生・…等と言った具合に、何処にでも潜んで居る普通の人に成り済まして、普段はひっそりと隠れ暮らして居るのだった。





 行商人に化けて居る密偵の男は、同じく密偵で、この宿で使用人に化けて暮らし居る女に、案内された部屋に一緒に入り込む。



 部屋に入った女は、使用人の態度から密偵の女の顔付きと口調に変わる。







「で、港の様子は、どうだったの?」





「スゴイ騒ぎだ。」





「そう、貴方が見たのが近頃噂が絶えないニホン軍ね。」





男は既に港を見てきたらしい。



 さっきのやり取りは、演技の一環だった様だ。





 この二人は怪しまれない様に、動いて居るので、隙を伺いながらあらゆる情報を集めていた。



 今回は行商人の男が港近くを素通りするフリをして、ダバ派遣艦隊の動きや港の様子を見て来たらしい。





 反対に宿屋の女使用人は、直接見聞きする事を避けて、そんな騒ぎに興味を示さない働き者の一般人を装いながら、別ルートへの情報を受け渡す繋ぎ役に徹して居るらしい。







「それで、ニホンは何しに西へ行くのか分かる?ゾイザル殿下やローラーナ帝国東方制圧派遣軍・上層部は、それが知りたいと思う筈よ。」







「それは分らない。どんな国でも情報は何所かで筒抜けになる筈だ。それなのにニホンは、どうやったか知らないが、ニホンの情報だけが噂以上のモノが手に入らない。」







「そうね、わたし達、女の密偵網でも同じよ。潜入して居る先の住人の振りをしてあらゆる方面で、情報を掻き集めているけど、全然って訳よ。一体、どうやって情報の流失をやって居るのかしらね。」







これは日本が通信器を含めた現代的な方法と手段で連絡を取り合ってる為だった。



 伝馬や伝令と言った手段が、主流であるこの世界では、日本の情報を素っ破抜く事は、殆んど不可能な話だった。



 通信機器の一つに、魔動水晶と言う物を使っての通信が有るのだが、距離が限られる上に、高価で生産数が限られ、国によっても保有数も限られて来る代物。



 帝国を含め、主な国では、密偵機関は下方組織に当たるので、滅多な事では使わせては貰えないだろう。







「まあ、良いわ。其れよりも、この時期にニホン軍が、パイプ・ライン大河を遡上する理由が全く分らないわ。」





「もしかして、こちらの情報が漏れたのかしら?」





そう、ローラーナ帝国東方制圧派遣軍・上層部の一部の作戦参謀者達は、ラクロアナ王国に取って重要な対帝国との防衛拠点にして、経済的に需要な都市であるゼングリラ市とロウデニィオン市を攻め込む為の準備やパイプ・ライン大河周辺での侵攻作戦も画策していた。









それが何所かで漏れたのだろうかと、男の脳裏にそう浮かんだ。







「まさか、有り得ない。」



「それならグリクス地方軍団のガミトフ・バイマン中将閣下が計画しているアルガス公国・ブラキュリオス湖のレジェンダリア諸島を攻め落し、北部侵攻計画が漏れた方を怪しむべきでは?」



 彼は有り得ないとその事を否定した。







「それもそうね。ガミトフ中将閣下がそんな間抜けでは無いと思うけど、この手の話はある日突然に素っ破抜かられる事も有るわ。」





「どちらにしても、良く調べてから、事の詳細をローラーナ帝国東方制圧派遣軍・上層部、それとゾイザル殿下やヤーズ侯爵様に報告しなくてはね。」







 女も彼も帝国が絶対の覇者であり、それを上回る存在なんて有り得ない。





 大なり小なり差は有れども、国家組織は帝国以外変わりないと思っていた。それにゾイザル等は、日本に関する情報を未だ正確に掴めずに居たのであった。







 密偵女は男との話を切り上げて、接客の応対に優れた使用人の態度に戻り、去り際の挨拶をして部屋を去って行ったのだった。



 こんな光景は、この世界に広がる闇の一端に過ぎない。







一方、パイプ・ライン大河を通中のダバ派遣艦隊の旗艦かがでは、周囲に気を配りながら順調に、二つの都市に挟まれた大河中央付近水域を通過して行く。







「置鮎一佐。これからもこう言った挨拶は、港事に大きな港付近を通る度にやり続けるのですか?」副艦長の笹沼が、ふと思った疑問を聞いて来た。







「いや、ロウデニィオン市や対岸のゼングリラ市に対してだけだ。河口を我々海自が通過したと言う断りを入れたと言う建前の為だ。」







「建前ですか?」





「そうだ、此処から先の国には、このラクロアナ王国のロウデニィオン市の軍の責任者から日本がこれから艦隊を通ると言う通知がされて居る筈だ。」





「実は紅葉皇女殿下は、近隣の王侯貴族の子息や子女に知人や友人が多いらしい。」



「この王国にも友人に手紙を出されていると事だ。コヨミ皇国からも手を回されている。だから問題無いんだよ。」





「そうでしたか。しかし、今回は大変な任務だと思って居ます。」



「何せ海自の初、日本に取っても初の異世界の海と川を進んで行く大航海に成る筈です。」





「船で始めて行く土地や海に大河と言う物は、船乗りには、堪らないものが有りますね。」







そう、旧海軍や海上自衛隊も含めて、遠洋航海や練習航海で遠出するのは珍しくない。



 それは何所の国の海軍でもだ。



 ただ違うのは、全く異なる世界で、地球系列国家内の中で、初の異世界遠征航海と言う事だった。





「ああ、そうだな。穏やかな大河の水面を眺めて居る心が表れる様だか、この世界は、創世記時代から含めると何度も大戦が起きて居るらしいな。」





「今行っている帝国と反帝国連合との戦争だけでも600年だ。一見して平和な町を見て居ると、とてもそうは見えないがな。」





「ええ、高見君や羽佐間幕僚長の予見が取り越し苦労になれば良いのですが・・・・・」





「そうだな、そうならない事を祈りたい物だよ・・・・・・・」





穏やかな異世界の町並みと自然の風景を目にしてつつ、平和でないと言う事実は、自衛官等に取っては信じられないと言った感じだった。





 南スーダンやソマリヤ、内戦後のカンボジア、アフガンとイラク以上に過酷な状況の世界や地域に挑む彼らは、気を締めて掛かる派遣艦隊の隊員達。





 その彼らが自衛隊にひいては日本国に取って、この世界で初めて本格的な戦争に参加する事に成る。





偶発的なと言う言い訳を付け加えてなのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・







 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月31日・午前14時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・アルガス公国・アーダマ州・アルガス公国首都・公都・リガ・ミリィー・ディーナ市・ラーデイァシュ城・公王執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





 この日、ブレックス・ファーミラ公王は、東の動きに付いてを執務室で女性閣僚であるベルナ・トーチカ外務大臣から報告を受けていた。



 在コヨミ皇国アルガス公国大使から東で起きた一連の騒動や新たに外交を求めて来た日本国なる異界転移国家に関する報告書と意見書、それに日本国から親書も外務省経由でベルナ外務大臣の下へ届けられて居た。



 ベルナの下に来た自分への報告書は読み終わり、ブレックス公王の下に訪れそのまま会議と言う流れと成った。





 それと、ブレックス公王宛てに手渡す予定の報告書の内容も凡そ同じ物だろうとベルナは予想して居た。 





「陛下、最近 ダバード・ロード王国 のアーヤ女王陛下が、何某かを企んで居る様子有ると、我が国のダバード・ロード王国駐在大使から報告がありました。」



「それと関連して居るらしいとの報告が、コヨミ皇国の我が国の駐在大使から報告書が届けられております。」



「それら加え、二ホン国から国交を結びたいとの親書が来ております。」





 ブレックスが報告書や各種書状や外務省関連の書類に目を通す。







「どうやらアーヤ殿は、ニホン国との国交の準備を本格化させつつ在る様だ。」



「ダバード・ロード王国内のアイリッシュ湖に浮かぶガイダル諸島の飛行場跡地の施設を改修作業や魔導機兵の無償提供等をして居るらしい。」





「わたしも報告書を読みましたが、思い切った事を為さいますね。」





「それが彼女の魅力でもある。豪胆で慎重、誰もがとても真似できない事だ。国王としもな。」



「所でそのアーヤ殿とコヨミ皇国のクレハ皇女の双方から日本国の艦隊がダバード・ロード王国へ向う為に領内を通過すると言って来て居る。」





「万国共通の慣例上、他国の軍船が例え帝国軍籍で有っても通過するだけなら問題は有りません。」



「それで陛下は例のお話・・・お受けするのですか?」





「ふうむ・・・・・・この地を訪れる彼らをこの目で見てからにしようと思う。」





「それは・・・・・・」





若い女外相は、公王の考えに少々驚き、言葉を詰まらせた。





「それは一体どうしてなのでしょうか?」と言いたかったがその前に公王が先に話を進めた為に言い損ねてしまったベルナ。





「やはり、直に見て見ないと何とも言えない。報告を聞いたり、資料を見るだけでは、我が国の未来を託すに足りえるのか、手を組む友人に足りえるのかとね。」





「それに南部方面のキナ臭い噂も絶えない。」





「やはり、そのキナ臭い相手とは、我が国とその周辺国と対峙している帝国のグリクス地方軍団の事ですか?」





「ああ、そうなのだ。それが気掛かりで、とても心配な事なのだ。そして、それを放置した儘で、ニホン国へと隠密裏に訪問などは、とてもな・・・考えられない・・・・・」





「それでは、こうしては如何でしょうか?」





「ルオ・ウオーミング宰相殿に、日本艦隊の寄港予定地であるグラダマ市で歓迎の晩餐会を開いて貰います。」



「その晩餐会にニホン軍の将校らを招待。断れない様に手を打つべく、宰相、市長と軍部の将校ら主催のアルガス公国の初来訪記念の晩餐会と称して、招待する形でパーティー会場まで来て貰うのです。」



「其処へ陛下が極秘のゲストとしてやって来たと言えば、彼らと言えども会うのを断れ無いでしょう。」





「少しだけ、印象を悪くするかも知れんが、彼らの都合と我らの都合も考えれば仕方の無い事だろう。」





「万が一グリクス地方軍団が、我が国の何れかの地域へと侵攻すれば、二ホン軍の協力を得られるかも知れません。」





「だが、それを選ぶのは彼らだろう。彼の艦隊の目的はあくまでダバード・ロード王国へ向う事だ。それに私は彼らと会って決めたい。」







「共に歩んで行ける隣人に足り得るのかを・・・・・・・・・・」







「承知しました。ではルオ様と軍の主だった者達と図って、陛下とニホン軍との接触を極秘裏に図りたいと思います。」





「任せる。」





ブレックス公王は、日本との国交開設をするべく、アーヤ女王からの誘いである日本行きを未だに迷っている様だった。





 その理由として、アルガス公国の南部地方のパイプ・ライン大河の向こう側の帝国軍の動きである。





 同地方はキナ臭い雰囲気が漂っている為、自国を留守にする事を躊躇って居たのである。
アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月2日・午前8時00分頃の事です。





 ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸東側地方・コヨミ半島・コヨミ皇国・賀谷野藩・賀谷野市・賀谷野港に、日本国の海上自衛隊の護衛艦隊と民間建築企業の作業従業員や事務社員と機材や車両が満載された輸送艦隊がやって来ました。



 この艦隊は、ダバード・ロード王国・ガイダル諸島の再開発計画が持ち上がり、その再開発と対ローラーナ帝国との安全保障問題対策計画を日本国の自衛隊と民間建築企業によるガイダル諸島のガイダル諸島空港遺跡の再開発と改修工事の委託が為される事に成り、それらを担う委託業者と自衛隊員らが、作業予定地として指定されたガイダル諸島へと向かう事に成ったのです。



 コヨミ皇国・賀谷野藩・賀谷野市は、北部宣政と言う人物が治めて居る州国自治藩主政府の一つです。





 賀谷野藩は、コヨミ皇国の北東部に在る賀谷野藩は、コヨミ皇国とラクロアナ王国の飛び地でシャン・ライア州の南端に接する国境の地方藩で、コヨミ皇国内での地位は、対ローラーナ帝国に措ける政策では、徹底抗戦派閥と講和・宥和政策派閥と言った者達からは距離を置いて居る中立派閥の藩主が治めて居る藩政府でした。





 その賀谷野国藩の主都である賀谷野市と賀谷野港は、ユーラシナ大陸西側諸国との貿易路との中継寄港地としても栄えて居る都市の一つとして知られており、アースティア世界大戦後も、その地位は変わらず、パイプ・ライン大河を通じての東西線貿易の中継地点であり、巨大な倉庫とコンテナプール場が整備され、巨大なクレーンが幾つも有るハブ港都市と成って居ます。



 此処から万代市やミンフィル王国東南諸国同盟、それに加えてアセニア亜人連合同盟へと貿易商船が行きかい、今も賑わって居るのです。







 アースティア大戦末期頃からは、地球世界から転移諸国の一つである日本国とも直接貿易を行う事で、特需景気に沸いて居り、アメリカ合衆国・ロシア共和国・台湾共和国・東南アジア諸国と言った地球系転移諸国との貿易で巨万の富を得る事にも成功を収めて居ました。





 西はリユッセル北欧同盟の各国からだが、一番の出発地点として上げるのなら、アルビオン王国の王都、聖騎士王都ロンデニュウム市から東へと向かうルートでしょう。







 其処から主要な地域を回りながら東へと進むと、オローシャ帝国の 帝都・パリーニャへと至ります。







 其処から更に東へ、パイプ・ライン大河を通って只管に東を目指し、ダバード・ロード王国のアルインランド州の州都・ベルクラネル市の近くのアイリッシュ湖を通ってパイプ・ライン大河をもっともっと東へと進んで行きます。





 するとその行き先には、アセリナ王国の南部に在るテムリオン州の州都・ザーキオス市。



 アルガス公国のレジェンダリア州の州都・セイジョン・ローグリア市。



 ラクロアナ王国のシャン・ライア州・ロウデニィオン市を経由して賀谷野藩・賀谷野市に至ります。 





 そんな歴史があり、未来にも経済・軍事に措いて必要不可欠な湾港都市である賀谷野市と賀谷野港にオローシャ帝国の東方の州で、フローレイティア州を管理して居るフローレイティア家のフローレイティア輸送商船商会の商戦艦隊に所属する五隻の空挺輸送艦と6隻の空挺魔導巡洋艦。







 更には一隻の空挺魔導戦艦が、海岸沿いに建てられている空挺魔導艦専用の飛行場に入港して居ました。





 そして、旗艦である空挺魔導戦艦の艦長であるシェスカーナ・フローレイティアは、海軍中佐にして、フローレイティア州を治めて居る若き20歳の当主であったシェスカが、日本国からやって来る海上自衛隊の護衛艦隊と合流するべく待ち合わせて居たのでした。



フローレイティア家は、旧アース世界連合国の有力輸送船商会を経営していたチャイルド家の分家の子孫で、爵位は伯爵位と、そこそこ高い地位にある家柄でした。



 オローシャ帝国では、中央政府が貴族称号持つ貴族領州と地方自治を認められている有力家に貴族称号与え、自治統治が認められて居る自治州が在る国で、それ以外の土地は国の直轄地として認めて居ました。



 そんなフローレイティア家は、有力者貴族家の一つであり、フローレイティア家のフローレイティア輸送商船商会は、アースティア大戦末期に活躍する私設艦隊として勇名を馳せ、やがてはシェスカが立ち上げ、竜史が会長に収まる事に成った高見総合商事株式会社の母体にも成って居ます。





 しかしながら、この時のシェスカは、故郷たるオローシャ帝国政府とコヨミ皇国の皇女からの手紙に苛立ちを露にして居ました。







 そのシェスカの手には、魔力水晶通信による自国の大使館の大使から発行された代筆によるミランダ・ランティー女帝から勅令状と、コヨミ皇国に居るオローシャ帝国大使から手渡す様にと、頼まれたと思われる紅葉からの手紙が届けられて居たそうです。



 彼女は本国での軍の定期任務の前に、自分の家の輸送商船商会の仕事でオローシャ帝国からコヨミ皇国まで荷を運んで来て、これからコヨミ皇国で、南方からの交易品を積み込んで帰国しようとして居た所でした。



しかし、コヨミ皇国のオローシャ帝国大使館から待ったが掛けられたのです。



 依頼元には、便宜を図って上で、輸送艦も別に用意するので、此方の頼みを聞いて欲しいと言って来たのでした。





 シェスカは本国と親友から同時に自身のスケジュールを邪魔された事に怒って居たようです。





そんな彼女の前に現れたのは海上自衛隊の護衛艦隊と第一輸送艦隊でした。



 シェスカは、先祖代々聞かされて来た科学技術力と言う物が伝わって居り、ロストテクノロジーと化して居ました。



シェスカは、日本国海上自衛隊、護衛艦あたごの艦長の栗田武男一佐と引き受ける依頼内容の確認をやり取りする中で、談笑もして居た時の事でした。



 その話中では、栗田一佐が映画・アニメと言った単語は理解が出来なませんでしたが、宇宙戦艦や宇宙と言う言葉は、伝承として実家に代々聞いて居たので理解が出来たそうです。





「はい。先祖の記録では天よりもはるか上に、星の海の空が有ると言う言い伝えが伝わって居ます。」







「祖先は其処で、商船の仕事をして居たとの記録が残ってました。あの船も先祖が残した遺産だとか。」







「もう他国では、お伽話として語られて居ますが、私達は普通に科学と言う記録にしか残っていない学問や技術が、実在はて居るの事を知っ居ます。」





「今やロスト・テクノロジーですが・・・・・・・・・」







「科学と言う概念が、この世界にも在るのですかっ!?」







「これは凄いっ!後で政府に報告しなければ為らないな。あの~貴国に付いて書かれた資料を後で頂きたいのですが。宜しいでしょうか?」





「はぁ?それは、どうしてでしょう?」



 シェスカは、栗田一佐が何を言って居る事が、分からなかったそうです。





(科学なんて過去の遺物よ。今さら何処にも残って居る筈が・・・・・って・・・・まま、まっまさかアレってもしかしてっ!?)





 彼女は栗田一佐が乗って来た乗り物や直近くまで来ていた護衛艦を見回します。



すると、魔力で動いて居るようには、見えない代物である異に気が付きます。





「栗田さん、ひょっとして・・・あの船は・・・」











シェスカは、恐る恐る聞いて見る。







 栗田一佐は何かを察したのか、シェスカの言いたい事の答えを答えて上げた。







「はい、動力はガスタービンエンジンで動いて居ります。」







「自然界にある物理的な法則を元にして居ますので、あの船は科学力で動いて居ますよ。」





「ああ、ああのぉっ!!通信機に電装品やその他の部品って発注できますか?」







「それとも点検や修理は?この船もう、後何年使えるのか、内装部品を魔力式に切り替えて500年。」







「そりゃもうっ!騙し騙し使ってきたんですが、私を含めて国中の艦はあと百年前後が限度と言われてまして・・・・・・・・」









「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいっ!」









シェスカが混乱し、気が逸るのも無理もありませんでした。





 彼女を含めて、官民訪わずにオローシャ帝国が所有して居る古くて、鋼鉄で出きていた空挺魔導戦艦の殆どが700年も前に在った科学文明国家である旧アース世界連合国が、保有していた宇宙船を改修して、延命処置を施して使い続けて使用して居た代物でした。



 まぁ、中には戦争で沈んだり、艦の対応年数の延命に限界が来てしまうですが、各国家と民間組織は、何とか使い続けようと努力して居ました。





 彼女の祖先や700年前の技術者達は、出来る限りの生産設備。資料データを本や電子データに残して居ました。







その子孫達は、それで何とか使い繋いで居たのです。



 且つて在ったと言う核融合炉心や縮退炉とか重力子とか、他にも色々と使っていたエンジンは、早々に廃炉成って居ました。



 それはSF物の創作作品集に在る様な壊れた挙句に、お決まりの動力炉の大暴走をしたら、本当に危ないからでした。





 その代わりに、この世界でも有力なエネルギーの代替として魔鉱石をドロドロに溶かして結晶化した物であるマナクリスタル作り出して居ました。



 更に船の心臓たる魔力式動力炉を開発して、全ての船に搭載して現在に至って居るのでした。



 オローシャ帝国の先人達は、とっくの昔に船の完璧な補修と整備に関して匙を投げて居ました。



 その昔、1000年前には新品で、巨人戦争で活躍し、700年前にしっかりと整備と修理をし、必要な部品と部品の生産設備と関連物資の生産設備が停止してから300年。







 代替品を使用しながらやって来たオローシャ帝国とフローレイティア家とって、技術的にロスト・テクノロジーと化して来た元宇宙船たる空挺魔導戦艦は、地球系転移諸国の出現によって生き延びる事が出来たのでした。



 こうして、フローレイティア家のフローレイティア輸送商船商会は、アースティア大戦末期に、日本の造船ドック企業の手に由って、大規模に修繕改修が為され、アースティア大戦を駆け抜けて行く事に成るのです。





 この賀谷野市・賀谷野港での依頼を受ける事によって、シェスカは、第一線で活躍る私設艦隊司令官兼商船商会長としても知られ、日本国の太いパイプを手に入れる事に成るのでした。





賀谷野市・賀谷野港



コヨミ皇国・万代市から鉄道で2時間から1時間。



皇都・星都市から3時間から2時間。



万代港からは1時間半。



日本国・新潟港からは3時間



ロシア共和国・首都ウラジオストク港からは2時間



ラクロアナ王国のロウデニィオン港とゼングリラ港からは1時間。



ゼングリラ市とロウデニィオン市各鉄道路線から45分。  

アースティア暦1000年・5月12日・午後12時30分頃の事です。



 オローシャ帝国の東方の州で、フローレイティア州を管理して居るフローレイティア家のフローレイティア輸送商船商会の商戦艦隊に所属する空挺魔導艦隊は、コヨミ皇国・賀谷野藩・賀谷野市・賀谷野港を出発し、その進路をダバード・ロード王国・アルインランド州 州都・ベルクラネル市郊外・アイリッシュ湖・ガイダル諸島・ガイダル本島に在る旧ロード・コスモ資本連合国・ガイダル諸島空港遺跡へと向かいます



 その地は、かつて転移災害で、アースティア世界へとロード・コスモ資本星間連合国が所有して居た多目的空港で、宇宙・空軍基地が置かれて居た場所でもある場所です。



 巨人戦争が終わって、200年後に放棄されててしまう。



 ダバード・ロード王国・国土交通管理省が管理して居る地図では、今はガイダル諸島と書いて在るだけたが、此処には400年前まで使われていた飛行場施設である旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港が、遺跡と成って残って居た。



 その概要説明には、何でも空挺魔導戦艦専用の飛行場が在ったと記録には残って居るが、州都・ベルクラネル市の北へ50キロの地点へと空挺魔導船専用区画の飛行場が移転した事により、航路の変更が行われて、今は使われずに放置されていた。



 軍事施設として離島地域の軍艦専用区画基地と言うのは、戦時には非常に便利で、民間施設や都市部を戦火に巻き込まれる危険性と被害を減らす事が出来るが、一時の平時の太平の世では不便な面が多すぎるし、コストパフォーマンスも悪いが故の移転なのだろうと推察される。



 以来、その飛行場は長い年月の間、忘れ去れて居ました。









 10日かけてアイリッシュ湖畔ガイダル諸島調査団は、シェスカーナ・フローレイティア率いるフローレイティア輸送商船商会の私設商船艦隊で、ダバード・ロード王国のアイリッシュ湖の中央に位置するガイダル諸島に在る旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港遺跡へと到着。



 船はガイダル諸島の中心の島であるガイダル島の北側の岸辺に輸送艦を着水して、ベースキャンプを設置したのです。



 調査団の警備隊長として派遣された陸自の佐々木正也一等陸尉は、「しっかし、見事に廃墟と雑草に雑木林だけだな。」との言葉を愚痴って居たそうです。







それが見渡す限りの廃墟と無人島の風景を見た、彼の感想だったようですね。







 調査団が降り立ったガイダル島は、大阪湾の海上に作られた関西国際空港が二つ分くらいの広さが在りました。





 陸地から17キロ離れた所にあり、調査隊が入る以前も当時も、誰も住んでいない場所でした。





 他にも似た様な島々が点在して居るが、アイリッシュ湖は横に長い広さの湖で、地球世界で言えば、カスピ海と似たような広さだったと自衛官や民間調査員たちらは、その様な感想を述べたそうです。





 ダバード・ロード王国政府は、同じくシベリナ地方王国連合同盟に加盟して居るコヨミ皇国の紹介により日本国政府に接触。



 在コヨミ皇国・ダバード・ロード王国大使に日本国政府と国交開設に向けての話し合いを進める中で、両国の友好と将来的に貿易と往来する上で必要な専用区画港と空港の設置を進める覚え書きに署名。



 その一環として、ガイダル諸島・ガイダル本島に在る旧ロード・コスモ資本連合国・ガイダル諸島空港遺跡の再開発を誘致し、シェスカーナ・フローレイティア率いるフローレイティア輸送商船商会に輸送を依頼。



 ガイダル諸島調査団と改修工事を請け負う日本建築企業会社の連合団体は、先ずはガイダル島の調査と開拓をし、然る後に飛行場を整備する計画を進めるのに至ったと言う事の様です。





 調査は順調に進められ、魔物や盗賊・強盗の類は居らず、草刈り機やチェーンソーなどを使った器具での開拓作業は数日掛けて行われました。





 その際にシェスカを含めたフローレイティア輸送商船商会の船員社員達らは、ガイダル諸島調査団から、食事と風呂場、それに洗濯機などを提供されたそうです。





 特にシェスカは、自衛隊と日本の民間企業らのベースキャンプの施設の充実ぶりに舌を巻いて居たとの回顧録が残って居ます。



 特に浄水器と下水処理装着や洗濯機などは、是非とも導入したいと述べて居たそうです。





 最初はやたらと重い荷物ばかりを載せるなぁ~と思って居たが、此処まで作業機器や生活に必需機器を持って旅に出る輩は、この世界でも余り居ないだろうと感心してようですね。







 シェスカ達は、ガイダル諸島・ガイダル本島4日間滞在した後に母国へと帰国の途に着いたのであった。





 後の歴史に置いてのガイダル・タバ日統合隊基地は、アースティア大戦の戦時中から戦後の数十年間の間に掛けて、国連軍の軍事拠点と治安維持の為に国際駐留部隊の拠点として使われ続けた。





 その後、大所帯と成って居た軍事基地としては手狭と成って居たガイダル・タバ日統合隊基地に駐留する国連軍とダバード・ロード王国軍は、新基地が南部に出来た事に由り、其処へと移転する事に成った。



 その関係で、ベルクラネル市の商用港として更なる再開発が始まるのと同時にダバード・ロード王国の国営空港へと成るべく、その権限がダバード・ロード王国へと移管されて行く。



 その後にアルインランド州と州都・ベルクラネル市の管理する下で、ダバード・ロード王国・ガイダル諸島国際空港とし使われ、アルインランド州・州都・ベルクラネル市のベルクラネル港と、シベリナ大陸横断鉄道のベルクラネル駅と合わせた大陸の人と物流の大動脈として使われる事に成って行く。



 アルインランド州 州都・ベルクラネル市郊外・アイリッシュ湖・ガイダル諸島・ガイダル本島への歩き方。



 アルインランド州・州都・ベルクラネル市・シベリナ大陸横断鉄道のベルクラネル駅で下車し、アイリッシュ湖・ベルクラネル港へと徒歩で15か公共交通車両で7分。

其処から定期便を使って20分で、往復40分。



旧ロード・コスモ資本連合国・ガイダル諸島空港遺跡石碑への歩き方



 海外からジェット機か空挺魔導船を使って直行便で空港に到着後、指定の案内版に従って歩いた先の石碑に凡そ徒歩6分と成って居る。



 アイリッシュ湖・ベルクラネル港との定期便を使って20分で、往復40分で、石碑へは5分程度と成って居る。



 元国際連合軍・ガイダル・タバ日統合隊基地・現ダバード・ロード王国・ガイダル諸島国際空港への歩き方。



 海外からジェット機か空挺魔導船を使って直行便で空港に到着後、指定の案内版に従って歩いた先の石碑に凡そ徒歩6分と成って居る。

 アイリッシュ湖・ベルクラネル港との定期便を使って20分で、往復40分で、石碑へは5分程度と成って居る。

旧ロード・コスモ資本連合国・ガイダル諸島空港遺跡石碑と同じ場所に在る。

アースティア暦1000年・5月22日・午前10時30分頃の事です。

 かつて転移災害で、アースティア世界へとロード・コスモ資本星間連合国が所有して居た多目的空港で、宇宙・空軍基地が置かれて居た、アイリッシュ湖・ガイダル諸島・ガイダル本島に在る旧ロード・コスモ資本連合国・ガイダル諸島空港遺跡。


 アイリッシュ湖畔ガイダル諸島調査団は、シェスカーナ・フローレイティア率いるフローレイティア輸送商船商会の私設商船艦隊が立ち去った後も、同地の整地や清掃を推し進めて行くと、付きの段階である改築工事の準備へと移って行きます。

時よりダバード・ロード王国軍のアルインランド州の州軍が、開拓作業を手伝いに来てくれても居たとの記録も残って居ます。


 ガイダル諸島での調査と作業は順調に進み、自衛隊と民間企業の作業員達らは、周囲の木々と雑草の刈り取りは殆んど済んで居ました。


 そして、施設の本丸である滑走路のコンクリートの張り替えや誘導等の設置、管制塔らしき建物の改装に着手が始まったが、その前にやる事が有りました。

 旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港遺跡の調査・・・・詰まりは、遺跡としての発掘と記録調査をする事でした。

 これには、ダバード・ロード王国政府・総合文部技術省の官僚、アルインランド州庁と州都・ベルクラネル市役所の役人。

 ダバード・ロード王国軍のアルインランド州の州軍の文官たちも立ち会う事に成ったと言います。

 建物の調査を進めながら、荒れ果てた建物の作業に必要なヶ所の補強工事と清掃作業を進めるが、これには必ず自衛官とアルインランド州軍人の護衛が付く事に成って居たのです。


 各員は、各所の建物らを順番に、一つ一つ丁寧に調べて行きます。


 そして、この日は格納庫と物資倉庫の探索の日の出来事です。


 アースティア暦1000年・5月22日は、後にアースティア世界転移災害史考古学に措ける記念すべき大発見が有りました。


その中心人物と成ったのが、考古学者の吉村義治博士です。

 アースティア世界ではSF考古学者として名を知られて居ますが、地球世界時代では、エジプト考古学者として名を馳せて居た有名な人物でした。


 佐々木一尉の護衛を受けながら調査団の団長を勤める吉村義治は、記録を取って行きます。

 最初の作業が始まった当初、彼ら学者組は民間人と言う事も有って、後方に位置する所で待たされて居ました。

 飛行場までの通路と安全が確保されると、周囲を探索し、草刈などが終わり始めると、いよいよ建物の内部を調査を始めます。


 そして、その過程で建物内に残された文物を回収して行きます。


 調査を始めた最初は、特にコレと言った物は無かった様でしたが、当時の物を思わされる物が結構残って居たようですね。



 超薄いタブレット、立体映像機、小型のパソコン、メモリチップの様な音楽ソフト。


 日記帳に生活雑貨。有り触れた物だが、異文明の物なので貴重な物だと言えるでしょう。 


 アイリッシュ湖畔ガイダル諸島調査団の団長である吉村博士は、元々はエジプト文明専門の考古学者でした。

こんな未来的な遺跡を調べるのも専門外でした。


 この世界にも古い石を用いた建物の遺跡も存在して居るが、ガイダル島等と同じ様な未来的、宇宙的な文明の廃墟や現役の設備がたくさん残って居ました。


 吉村博士は、好きだったエジプトへの思いは有る物の、これからはこう言った文明の歴史編纂も必要に成るかも知れないと考え、文科省から出された写真の無い説明文だけの資料を見て頼まれた、このガイダル島調査団の仕事を引き受ける事にしたそうです。


 そんな施設の調査を進めて行く中で、自衛官達らは、内部を進めながら、とあるドアの前に立ちました。


 それは古くなり、ドアノブが壊れたのか、開け辛かったドアを無理やり切断して中に入り、薄暗い格納庫の中を懐中電灯を片手に進んで行く調査団。

先頭には、陸自の普通科隊員が、89式小銃を構えて進んで居ました。


 調査開始から半日が経とうと言うのに、上層部の建物には、武装した人骨の遺体や罠の類は見つかって居ませんでした。



 電気が通って居ないので、閉ざされた建物の中は真っ暗な所だらけだったそうです。

その記録映像が以下の通りでした。


「佐々木隊長、中は大丈夫の様です。」



「分かった。今そっちへライトを持って行く。」


 佐々木一尉からの無線通信の返答が返って来ると、取り合えず戦闘態勢を解いた隊員達。


 其処へ、手にライトを携えて入って着たのは吉村博士。


「吉村先生、済みませんですね。お手数お掛けして・・・・・・」



「いやいや、此方こそ命を張って頂いて居るのです。これくらいのお手伝いは、させて頂きますよ。」



 チョビ髭の温厚そうなおじさんが言います。

 そんな彼は、常陸那珂製作所がメインスポンサーであり、この木なんの木のテーマソングで有名なミステリーツアー形式のクイズ番組でも、お茶の間でも有名な人物でした。


 それなので派遣された自衛隊員でも良く見知った著名な人物でもある為、何より気さくな人柄なので、調査団とダバード・ロード王国から訪れる人達からも、何れも吉村博士の呼び方が、吉村先生で通って居たそうです。



「では皆さん、明かりを設置しながら、安全を第一にを作業進めて下さい。」


「何か珍しい物をを見つけた場合は、声を大きく呼び掛けて言うか、近く人に声をかける様に・・・・・・・・・」


「「「「はいっ!」」」」


 吉村達は、壁で仕切られた一つ一つの部屋を慎重に探りながら進んで行く。

 進んだ先の幾つかある部屋を見つけ、陸自隊員達と考古学者等は、手分けして部屋を調べて行く。

 進んだ先の幾つかある部屋を見つけ、陸自隊員達と考古学者等は、手分けして部屋を調べて行きます。


 何れの部屋も、飛行機を運搬する車か、部品や工具にクレーンが有る部屋と言う倉庫の類の部屋だけで、どれも取り分けて珍しい物で無かったそうです。


「先生、これは・・・・・・・」


「うむ・・・・・ひょっとしたら昇降機では、無いかな。」


「では、この建物の何所かに、地下室への階段が?」



「在るかも知れん・・・・・いや、在る筈だ。」


「よーしっと。」




 同行していた前田一尉は、近くの隊員達に階段が無いか探させます。


 すると、15ある格納庫に昇降機が2機づつ在り、その内、15ヶ所で地下への通路が確認されました。

 だがしかし、10ヶ所の内、階段が壊れたり、鉄板の作りゆえか腐食で危険と判断されて通行が断念された所も在ったようです。

 其処で調査団は、東側の入り口から1番近い階段が、一番に安全と確認された所を使う事にしました。


「では降ります。」



「気を付けてな。」


 吉村達に見送られながら前田一尉達は、記録用のカメラを回しながら地下へと降り立つ。

 格納庫一階と外の指揮所では、カメラから送られる映像をモニターで見ていた。全員に緊張が走ります

 これまでとは違い、丸で未知の何かを発見するかの様な雰囲気が出て居たそうです。



「こちら前田、地下に到達した。」


「此方でも見えて居る。慎重に行けっ!!」

「はい。」



 此処は400年間も放置された建物です。

 こんな所で未知の生物が隠れて居るとも限らりません。


 出発前に説明で、調査団の団員の方々には、そんな話がされて注意されて居ました。


例え安全圏な場所でも油断をしないようにと。

が入ったのは、調査団が第五格納庫と仮呼称した格納庫でした。



前田一尉は、ライトを南の方角へと向けると、其処には・・・・・・・・・・



「うわぁ、これは・・・・・・凄い。」


 前田一尉が見た物は、アメリカのF-14・トムキャットに良く似た戦闘機でした。


「こちら前田、地下格納庫にて戦闘機らしき物体を発見しました。」


 ライト急いで持ってきた隊員に明かりを灯させると、その戦闘機の全容が明らかに成ります。



「2機ほど、格納されて居る様だな。」



「佐々木君、もう降りても良いかね。」



 吉村は佐々木一尉に、地下室へ行く事の許可を求めました。



「前田、他には何も無いか?」



「ええ、大丈夫です。此処はどうやら戦闘機の格納庫区画の様です。」


「吉村先生。」




「分かった。みんな、急いでカメラや機材を持って行こう。」



 学者組みが荷物を纏めて地下へと降り立った。其処には、宇宙戦争に出て来そうな戦闘機が置かれて居ました。


「吉村先生、見て下さい。まるでアメリカのF-14の様ですよ。」



「確かに、これは考古学とは別の意味で凄い発見だな。」


 吉村が発見された物を見て感慨く答えた。

 その横でSF作家で空想科学関連の参考人として召集され、調査団の顧問に付いて来て居る板川二郎と科学者である岩本昭彦博士が、戦闘機の側で何か気付いたそうです。

「これは宇宙で飛べる様な設計に見えるな。岩本さんどう見ますか?」



「確かに、後部の二つの噴射口は小型だが、良く造り込まれたロケット噴射口だね。」

「それも未知の技術が使われて居るかも知れない。」


「ひょっとしたら、これを研究すれば、飛行技術が数十年は進む大発見に成りますね。」



「そうだな、だが、そうなると所有権利の問題も有るな。此処はダバード・ロード王国の領土だ。断りも無く研究の為だと軍事兵器を持ち出せるかね?」




「そうですね。上手く交渉が出きたら良いですね。」と板川は目の前のある意味、技術のお宝のを如何するのかが心配の様だったそうです。

「状態は?」



 その二人の側に吉村博士はやって来ました。


「吉村先生。かなりと言うか、良すぎて不思議な位ですよ。」


「ですが、燃料か動力炉に関連する部分が意図的に外されて居ますね。」




「それはもしかして・・・・・・」




 其れに付いては、吉村にも予想は出来て居ました。


「恐らくは小型の核エンジン関連かと。それも放射能の拡散を抑えている技術が用いられるか、似た動力炉を使用して居るか、それとも全くの別の物かは分かりませんが・・・・・・」



 これはSF作品を良く見ていたりすれば、ある程度の齧った知識だけで誰もが予想が出来る事だったそうです。



「吉村先生、エンジンや燃料部分のパーツがワザと外れさて居るのは、将来に措いてその部分が劣化する事を恐れた事だと思います。」


 板川は、知って居る知識や自分の作品でも書かれて居る事から予測して、私見を皆に述べて居ました。



「確かにな。後世の発見者が不意にエンジンを動かして、何らかの暴走や劣化による施設大破爆発。」

「それに伴う周辺地域の汚染は気を付けるべきと思ったのだろう。」


「しかし、良かったですよ。事前に放射能の計測をしましたが、問題は有りませんでしたし・・・・・」

 念の為に調査前に放射能検知器で放射能を計測した結果、全ての数値が正常値を示して居ました。

「此処を放棄する前に、全てのパーツを取り外して何処かに破棄・放棄したのでしょうね。」


 岩本も、倉庫内の状況を見る限り、そう結論付けました。



「しかし、一体、何処に・・・・・・・」



 不可解な疑問が残る中、その謎は半月後に宇宙ステーションで勤務している宇宙飛行士らに由って解かれる事に成ります。


 何でもこの惑星の周囲では、見た事も無い巨大な建造物が漂って居るらしいとの報告が為されたからです。



 どうやらアースティア世界に転移して来た先人達は、宇宙技術や宇宙での生活を早々に放棄した様なのです。

 しかしながら、後に発覚したのは、ルナルノワール・ブラックドラグリア族、通称名は黒竜人族が、放棄された月面都市や宇宙コロニーに居住して居る事が分かります。


 直ぐに調査団を送りたかったが、大気圏突破の術が殆んど無かった為、転移ししてから初期の時代では断念せざるを得なかったそうです。


 ダバード・ロード王国は発見された戦闘機を旧ロード・コスモ資本連合国の物と断定し、解析をする為に発見された物を日本国へ譲渡する事を決定し、技術解析が進められる事に成ります。


 その見返りは将来の発見された飛行機から齎された新飛行基本技術の譲渡と各種人材の育成でした。

 画して旧ロード・コスモ資本連合国・ガイダル諸島空港遺跡の大発見は、アースティア大戦末期のダバード・ロード王国と日本国らの秘密大作戦に発展。

 戦闘機の発見と魔導機兵の運搬、それとダバード・ロード王国のアーヤ・シュチュ―ド女王の思惑も有って、その結果、両国の思惑反帝国同盟諸国をも巻き込んだ、日本自衛隊による西方方面輸送作戦の発動が、この後に発令されるのであった。



吉村義治博士

 吉村博士・エジプト考古学者だった人物で、アースティア大戦当時は、日本国内の在籍して居た大学に居た。

 しかしながら転移災害に巻き込まれ、エジプトへは二度と行く事は叶わくなる。

 アースティア大戦当時は、好きだったエジプトへの思いは有る物の、これからはこう言った文明の歴史編纂も必要に成るかも知れないと、文科省から出された写真の無い説明文だけの資料を見て頼まれた、このガイダル島調査団の仕事を引き受け、アイリッシュ湖畔ガイダル諸島調査団に参加する。

 地球世界時代では、エジプト考古学者として名を馳せて居た有名な人物でしたが、後にアースティア世界では、アースティア世界転移災害史考古学に関するSF考古学者として名を知られて居ます。



岩本昭彦博士

 アイリッシュ湖畔ガイダル諸島調査団に参加した人物の一人で、航空力学と宇宙航空科学技術力学の博士でもある人物。

 アイリッシュ湖・ガイダル諸島・ガイダル本島に在る旧ロード・コスモ資本連合国・ガイダル諸島空港遺跡で発見された戦闘機を解析に尽力し、後に戦闘機並みのサイズの宇宙船を開発し、その名もロケットビートルと名付け、スターマークがトレードマークと成った。


板川二郎

 株式会社スタジオ・ヌオーで、超時空大要塞マクロデイァの制作に関わり、全長12キロメートルの巨大な大要塞戦艦と小型戦闘機型ロボット・ヴァルキュリアがロボットへと変形すると言う斬新な設定と美術作監と成った人物。


 アイリッシュ湖畔ガイダル諸島調査団に参加した人物の一人で、意見参考人として随行し、様々な見地からの意見を述べたと言う。
アースティア暦1000年・5月12日・午後12時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・シベリナ中央地方・ダバード・ロード王国・アルインランド州 州都・ベルクラネル市郊外・アイリッシュ湖・ガイダル諸島・ガイダル本島・旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港遺跡にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







あれから10日かけてアイリッシュ湖畔ガイダル諸島調査団は、シェスカーナ・フローレイティア率いるフローレイティア輸送商船商会の私設商船艦隊で、ダバード・ロード王国のアイリッシュ湖の中央に位置するガイダル諸島に在る旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港遺跡へと到着して居た。





 船はガイダル諸島の中心の島であるガイダル島の北側の岸辺に輸送艦を着水して、今は荷卸しの真っ最中であった。











「しっかし、見事に廃墟と雑草に雑木林だけだな。」







 調査団の警備隊長として派遣された陸自の佐々木正也一等陸尉は、見渡す限りの廃墟と無人島の風景を見た感想だった。



 調査団が降り立ったガイダル島は、大阪湾の海上に作られた関西国際空港が二つ分くらいの広さが在った。





 陸地から17キロ離れた所にあり、誰も住んでいないらしい。他にも似た様な島々が点在して居るが、アイリッシュ湖は横に長い広さの湖で、地球世界で言えば、カスピ海と似たような広さだった。







 ガイダル諸島調査団と改修工事を請け負う日本建築企業会社の連合団体は、先ずはガイダル島の調査と開拓をし、然る後に飛行場を整備する計画をしていた。







「佐々木一尉、先ずは我々自衛隊が、周囲の様子を見て回りましょう。」





「そうだな。幾らここが王国領内で安全だと言われても、無断で住み着いている奴が居るかも知れないしな。」





 佐々木一尉は、副隊長として派遣されて居る前田一尉の意見を聞き入れた。





 それに盗賊の類が住み着いてたら大変だからである。



 それに改築工事の為に派遣されている民間人も居るのだから、安全を確保するのは、護衛として派遣された自衛隊の務めなのだ。





 ちなみに政府の職員を始め、異世界の外地に出向く、又はその逆も然りなのだが、臨時立法が制定されていた。



新世界出入国防疫管理特別法と題して、国会で4月中に可決された法律が在った。



 約1年の間、日本から出入国をする官民と海外からの来客とその他の我が国を来訪する人間は、全てに措いて例外なく、防疫検査と予防接種が義務付けられて居る。





新世界での病原菌への耐性が地球と同じレベルであると証明されるまでの間、この処置が取れる事とが決まって居る。





 転移した年の4月を起点として、毎年4月に更新され、数年を掛けて調査される予定だ。





 この事に関連する事と、治安の問題から地球系国家の新世界の大陸への渡航制限が日本の主導で各国へと呼び掛けられて居る。



今の所、各国の反発は無く。日本政府の許可と要請された人物のみが、仕事の為に大陸へ渡航している。



官僚も自衛官も学者も船乗りも建築業者も関係無く、この処置が取られて、誓約書にサインと専用の生命保険を掛けられた上で、コヨミ皇国等に派遣されて来て居るのだった。 



 その参考事例として、2020代初頭のコロナ対策を参考にして居た。



 法律違反をすれば、強制送還され、隔離処置と裁判をした上で、懲役刑が科せられる事に成って居た。





「それなら私達も付き合う。」とシェスカも島内偵察活動に名乗りを上げた。









「シェスカさん。」











「出立まで数日も有るしな。今の時期は動植物に危険な類は居ないが、貴方達には知らぬ土地だ。客に怪我をさせたと有ったら家の信用にも関わるしな。」







「有難う御座います。」



 シェスカも剣や弓などで武装した30名の商会社員として勤めている陸戦隊員を率いて島を見回る事にした。





 佐々木一尉は、施設科の隊員に上陸地点付近の草刈を命じて、ガイダル島を30名の隊員と一緒に一周する事に成った。



陸自隊員達が草刈り機や鎌で、雑草を刈り取りながら進みつつ、シェスカ達フローレイティア輸送商船商会の面々は、貸し出された斧や鎌で、草や木を切り倒しながら島の中央へと進んで行く。





「切り倒した要らない木は、此方で木材として売り出して処分して置こうか?」







「はい、それは助かります。お願いします。」







「雑草は乾燥をさせてから焼いてしまえば楽だろう。」





「しかし、空から見た限りでは、飛行場の施設以外は木々に覆われて居ますね。」



「資料で見たのだが・・・・何せ、最低でも400年間は、放って置かれて居た所だ。」



「全く手入れはされて居ない。施設は錬金魔法の固定化と言う魔法で、劣化だけは辛うじて防がれて居る様に見受けられる様だな。」





「固定化魔法ですか?便利なものですね。」







「そうでも無いぞ。魔力の燃費や使用制約に問題が多い。」



「連続しての使用にも弱いからな。」



「その点、科学を使用した機械式の物の方が効率が良い。」







 佐々木一尉とシェスカは歩きながら、魔法の便利さと不便さ付いて話し始めた。







「でも驚きですね。此処に来るまで間、船の中でお聞きした昔の話の中に、まさか科学超大国が、かつてこの地に転移して来て居たとは・・・・・・」





「それも3度の大戦で国力と技術力を磨り減らし居てな。今じゃ劣化品と消耗した生き残りの骨董品が生き残って居るだけだ。」









「しかし、シェスカさんの乗っている船の艦名が確か・・・・ベィビィ・ウルフですか?茶目っ気のある名前ですね。」







「なんでも初代の当主をしていた人物は、艦長もやって居てな。しかも女性だったらしい。」







「だから船のエンブレムが子供の狼なんですか。」









「可愛い物が趣味だったとも聞いて居るな。」









(昔の機械文明だったと言う国家の文化的な事柄は、我々と近いかも知れない。)







「おっと、どうやら目当ての場所に着いたらしい。」







「その様ですね。よしっ!!もう少し道を広げよう、自動車が2台分通れるくらいは欲しい。」





「野郎どもっ!!お前達は、その辺の木と切り株の排除とテント設営だっ!」







「「「「「おおうっ!!」」」」」





 フローレイティア輸送商船商会の面々は、シェスカの命令を何故か喜び勇んで粛々と遂行して行った。





 人力で広げられた所に、連絡を受けた施設科隊員と民間の作業員が機材を移動させて来ていた。





 中型ドーザ、資材運搬車、道路障害作業車、32.2tトラック(作業車付)、特大ダンプ トラック・クレーンなど、それほど多くは持ち込んで居ないものの、作業効率を上げるのに、これ程の強力な味方は居ないだろう。





 作業は順調に進んで行き、夕刻までに車両が通れる様に成った。その日の作業は取り合えず、夕方で終わる事と成った。





 夕方、施設科と需品科が中心と成って設営したテントや屋外に仮設自由宅、仮設指揮所に、仮設保養施設が建てられて居た。



更に次の便で設備や資材に必要な物を送ってくれるとの連絡を受けていた。



 食料は生鮮品は現地で、調味料やその他に足りない物は日本が、契約提携した輸送商会を通じて送る予定でいるとの事だった。



 シェスカはベースキャンプの施設の充実ぶりに舌を巻いていた。







「これは凄いな。」







「ささっ、シェスカさん、食事まで時間が有りますから、お風呂でもどうですか?女性専用ですから安心してください。」





「あちらには洗濯機も用意して居ます。勿論、家の女性隊員が選択を引き受けますので大丈夫です。」





 シェスカは佐々木の説明を受けて、用意された機材に目をやった。







「有り難い。食事だけでなく、洗濯や風呂の用意まで有るとは、思っても居なかった。」







 普段の彼女達は、船旅の最中は寄港地でも、水浴びが当たり前だった。飲み水が貴重だからである。







「でも良いのか?水は貴重な筈だろう?」





「ああ、それですか?あれをご覧ください。」







「これは?」







「浄水セットです。これで湖の水を濾過して使います。」





「でも此処の湖の水って結構綺麗なんですね?水質の透明度が我が国と段違いです。」



「念の為に濾過はして居ますが・・・・・・・・」





 佐々木一尉は、浄水の担当していた隊員から水が汚染されて居ないとの聞いて驚きの声を上げたと言う。



 シェスカが良く見ると、自衛隊はトイレだけではなく、下水処理装置まで持って来て居たらしい事に感心する。



最初はやたらと重い荷物ばかりを載せるなぁ~と思って居たが、此処まで作業機器や生活に必需機器を持って旅に出る輩は、この世界でも余り居ないだろうと感心して居たシェスカ。



「浄水装置だけでは無く、下水処理装置まで備えてあるのか?これらは幾らあれば買えるのだろうか?」







 余りにも便利に器具を目の当たりにして、思わずそれらの機材が欲しくなったシェスカであった。





 彼女は船団の女性団員共に、脱衣所で服を脱いで仮設浴場へと向う。



 結構な広さで、体を洗ってから入る様にと女性自衛官から説明を受けていた。



 国によって浴室の使い方が微妙に違う。



 シェスカの国では入浴剤に石鹸の粉が入った物を風呂に入れた泡風呂が主流だった。



 彼女は、此処で始めての日本式風呂を体験したのであった。レバーを回せば、お湯と水が出るシャワーと蛇口、近くには洗浄用のスポンジが置かれていた。





 それにボディーソープと言う液体石鹸を付ける様にとの使用説明も有った。





 自衛隊員等が、最初に暦文字(コヨミ皇国語と日本語の事)は読めるかと聞かれると、暦文字とユールッハ語(英語似た言語)の両方が読めると答えると、風呂場の道具の使い方を教えてくれたのである。



 因みにユールッハ語とは、英語似た言語で、ユールッハ地方が発祥地。



 世界の共通語としても使われて居る言語で、日本国を始めとする地球系転移地域では、翻訳が楽だと言って居た。



 シェスカは日本人に抱いた印象は、とても真面目で気遣いのできる人達と感じて居た。



 そして、彼らが使う物は、とても便利で使い易さを主軸に置いて居ると言う事を感じたのだった。







 シェスカが体を洗い始めると、湯船の中でコソコソと覗き見つつ、ヒソヒソと話す女性団員達が居た。



 彼女たちは、普段はフローレイティア輸送商船商会の従業員として働き、戦時には兵士としてシェスカ元で戦う者達である。





 その子達が、シェスカを厚い視線を送りながら見ていた。何を隠そう、シェスカは困った事に男女共にモテる女性だった。





 そう、此処に居る女性達は、百合的な目線で見て居るのであった。







「ああ、今日もシェスカさまは、お綺麗ね・・・・・・・・」









「はぁ、白いキメ細かいお肌がお美しい。」









「何時かあの方に抱かれたいですわ。」







 終いには「きゃあぁーーーっ!!」と言う奇声を上げるお約束を言うのである。



 それを遠巻きに聞いている本人は、周囲から自分がどう言う風に見られて居るのかを多少なりとも知って居た。





 だが、自分の彼氏に成りたいなんて言う奇特な輩は居ないだろうと思っていた。





 性格は兎も角、好かれる異性と同性が有る意味、変態な人達が多かった。ドSな雰囲気と性格のせいで、寄り付くの変わり者が多くて困って居るのだった。







「はぁ。」







 スタイルと顔は悪くないのに、如何して彼氏が出来ないのだろうと目の前の鏡に映る自分を見て思った。





 プルンと揺れる胸に引き締まったボディライン。クールで気の強いツリ目の整った顔立ちに美しい銀髪。





 この何処に欠点が有るのだろうとシェスカは思った。



 紅葉の友人達は、何れも美人揃いだが、彼女達には男友達が居ない。略せば「はがない」何て冗談めいた言葉にも成るだろう。



 それくらい男っ気が無かった。





 それに彼女達は、全員が見合いだけは、絶対に嫌だと言う始末だから、何れも自立して働きながら生きている道を選んで居た。





「ふぅーっ・・・・・・」





 やがて全ての事を終えて湯船に使った彼女は、それまでの悩みを吹き飛ばす物だった。





 此処まで贅沢に、文字通りに湯水の如く使う言葉がピッタリな風呂に、暫し身を委ねるのである。



 風呂から上がると、食事が要されていた。





 指揮官である佐々木が、仕事に差し支えある者以外は、飲酒の許可が言い渡された。





その言葉に全員が喜び、楽しい夕食と成った。



 シェスカも日本酒や神獣の絵が入っている麒麟・ラガービール社製のビールを飲み干していた。結構、飲み易いとも述べている。



 出された食事も大満足であったと言う。シェスカ達は4日間滞在した後に母国へと帰国の途に着いたのであった。

アースティア暦1000年・5月22日・午前10時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・シベリナ中央地方・ダバード・ロード王国・アルインランド州 州都・ベルクラネル市郊外・アイリッシュ湖・ガイダル諸島・ガイダル本島・旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港遺跡にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・









 ガイダル諸島での調査と作業は順調に進み、自衛隊と民間企業の作業員達らは、周囲の木々と雑草の刈り取りは殆んど済んでいた。





時よりダバード・ロード王国軍のアルインランド州の州軍が、開拓作業を手伝いに来てくれても居た。



 滑走路のコンクリートの張り替えや誘導等の設置、管制塔らしき建物の改装。





 そして、今日は格納庫と物資倉庫の探索が始まろうとして居た。



 各員は各所を順番に、一つ一つ丁寧に調べて行く。



 佐々木一尉の護衛を受けながら調査団の団長を勤める吉村義治は、記録を取って行く。



 最初の作業が始まった当初、彼ら学者組は民間人と言う事も有って、後方に位置する所で待たされて居た。



 飛行場までの通路と安全が確保されると、周囲を探索し、草刈などが終わり始めると建物の内部を調査を始めた。





 そして、その過程で建物内に残された文物を回収して行く。





 特にコレと言った物は無かったが、当時の物を思わされる物が結構残っていた。



 超薄いタブレット、立体映像機、小型のパソコン、メモリチップの様な音楽ソフト。





 日記帳に生活雑貨。有り触れた物だが、異文明の物なので貴重な物だと言えた。 



 吉村は元々はエジプト文明専門の考古学者だ。





 こんな未来的な遺跡を調べるのも専門外と言える。



 この世界にも古い石を用いた建物の遺跡も存在して居るが、ガイダル島等と同じ様な未来的、宇宙的な文明の廃墟や現役の設備がたくさん残って居た。





 吉村は好きだったエジプトへの思いは有る物の、これからはこう言った文明の歴史編纂も必要に成るかも知れないと、文科省から出された写真の無い説明文だけの資料を見て、頼まれたこのガイダル島調査団の仕事を引き受けていた。





 古くなり、ドアノブが壊れたのか、開け辛かったドアを無理やり切断して中に入り、薄暗い格納庫の中を懐中電灯を片手に進んで行く調査団。





 先頭には、陸自の普通科隊員が、89式小銃を構えて進んでいた。





 今の所、武装した人や罠の類は見つかって居ない。





 電気が通って居ないので、閉ざされた建物の中は真っ暗な所だらけだった。





「佐々木隊長、中は大丈夫の様です。」







「分かった。今そっちへライトを持って行く。」





 佐々木一尉からの無線通信の返答が返って来ると、取り合えず戦闘態勢を解いた隊員達。





 其処へ、手にライトを携えて入って着たのは吉村だった。







「吉村先生、済みませんですね。お手数お掛けして・・・・・・」







「いやいや、此方こそ命を張って頂いて居るのです。これくらいのお手伝いは、させて頂きますよ。」







 チョビ髭の温厚そうなおじさんが言う。彼はテレビの歴史のクイズ番組でお茶の間でも有名な人物だった。



 それなので派遣された自衛隊員でも良く見知った著名な人物でもある。





 何より気さくな人柄なので、調査団とダバード・ロード王国から訪れる人達からも、何れも吉村の呼び方が吉村先生で通っていた。



「では皆さん、明かりを設置しながら、安全を第一にを作業進めて下さい。」





「何か珍しい物をを見つけた場合は、声を大きく呼び掛けて言うか、近く人に声をかける様に・・・・・・・・・」





「「「「はいっ!」」」」





 吉村達は、壁で仕切られた一つ一つの部屋を慎重に探りながら進んで行く。



 進んだ先の幾つかある部屋を見つけ、陸自隊員達と考古学者等は、手分けして部屋を調べて行く。



 調べて行く中で、この近辺の部屋のドアは、案外簡単に開く物も在ったりする。



 だが、何れも飛行機を運搬する車か、部品や工具にクレーンが有る部屋と言う倉庫の類の部屋だけで、どれも取り分けて珍しい物で無かった。



「先生、これは・・・・・・・」





「うむ・・・・・ひょっとしたら昇降機では、無いかな。」





「では、この建物の何所かに、地下室への階段が?」







「在るかも知れん、いや、在る筈だ。」





「よーしっと。」









 同行していた前田一尉は、近くの隊員達に階段が無いか探させた。





 すると、15ある格納庫に昇降機が2機づつ在り、その内、15ヶ所で地下への通路が確認された。



 だがしかし、10ヶ所の内、階段が壊れたり、鉄板の作りゆえか腐食で危険と判断されて通行が断念された所も在った。



 其処で調査団は、東側の入り口から1番近い階段が、一番に安全と確認された所を使う事にしたのである。





「では降ります。」







「気を付けてな。」





 吉村達に見送られながら前田一尉達は、記録用のカメラを回しながら地下へと降り立つ。



 格納庫一階と外の指揮所では、カメラから送られる映像をモニターで見ていた。全員に緊張が走る。



 これまでとは違い、丸で未知の何かを発見するかの様な雰囲気が出ていた。





「こちら前田、地下に到達した。」





「此方でも見えて居る。慎重に行けっ!!」



「はい。」







 此処は400年間も放置された建物である。



 こんな所で未知の生物が隠れて居るとも限らない。





 出発前に説明でそんな話がされて注意されて居た。



 特に竜史が官庁街の省庁の職員らに、国外へと出掛ける者達に注意喚起で言って居る。



 例え安全圏な場所でも油断するなとね。



 彼が入ったのは、調査団が第五格納庫と仮呼称した格納庫だった。





 必然的に第五格納庫の真下に成る所だった。



 基地と島は横向きで北側に建物が集中して建てられて居た。





 滑走路は西向きに延びている。





 従って格納庫は南に向き成って居た。





前田一尉は、ライトを南の方角へと向けると、其処には・・・・・・・・・・







「うわぁ、これは・・・・・・凄い。」





 前田一尉が見た物は、アメリカのF-14・トムキャットに良く似た戦闘機であった。







「こちら前田、地下格納庫にて戦闘機らしき物体を発見しました。」





 ライト急いで持ってきた隊員に明かりを灯させると、その戦闘機の全容が明らかに成る。







「2機ほど、格納されて居る様だな。」







「佐々木君、もう降りても良いかね。」







 吉村は佐々木一尉に、地下室へ行く事の許可を求めた。







「前田、他には何も無いか?」







「ええ、大丈夫です。此処はどうやら戦闘機の格納庫区画の様です。」





「吉村先生。」









「分かった。みんな、急いでカメラや機材を持って行こう。」







 学者組みが荷物を纏めて地下へと降り立った。其処には、宇宙戦争に出て来そうな戦闘機が置かれていた。









「吉村先生、見て下さい。まるでアメリカのF-14の様ですよ。」







「確かに、これは考古学とは別の意味で凄い発見だな。」





 吉村が発見された物を見て感慨く答えた。



 その横でSF作家で空想科学関連の参考人として召集され、調査団の顧問に付いて来て居る板川二郎と科学者である岩本昭彦博士が、戦闘機の側で何か気付いた様である。







「これは宇宙で飛べる様な設計に見えるな。岩本さんどう見ますか?」







「確かに、後部の二つの噴射口は小型だが、良く造り込まれたロケット噴射口だね。」



「それも未知の技術が使われて居るかも知れない。」





「ひょっとしたら、これを研究すれば、飛行技術が数十年は進む大発見に成りますね。」







「そうだな、だが、そうなると所有権利の問題も有るな。此処はダバード・ロード王国の領土だ。断りも無く研究の為だと軍事兵器を持ち出せるかね?」









「そうですね。上手く交渉が出きたら良いですね。」と板川は目の前のある意味、技術のお宝のを如何するのかが心配の様だった。







「状態は?」







 その二人の側に吉村はやって来た。







「吉村先生。かなりと言うか、良すぎて不思議な位ですよ。」





「ですが、燃料か動力炉に関連する部分が意図的に外されて居ますね。」









「それはもしかして・・・・・・」









 其れに付いては、吉村にも予想は出来て居る様だった。





「恐らくは小型の核エンジン関連かと。それも放射能の拡散を抑えている技術が用いられるか、似た動力炉を使用して居るか、それとも全くの別の物かは分かりませんが・・・・・・」







 これはSF作品を良く見ていたりすれば、ある程度の齧った知識だけで誰もが予想が出来る事だった。







「吉村先生、エンジンや燃料部分のパーツがワザと外れさて居るのは、将来に措いてその部分が劣化する事を恐れた事だと思います。」









 板川は、知って居る知識や自分の作品でも書かれて居る事から予測して、私見を皆に述べて居た。







「確かにな。後世の発見者が不意にエンジンを動かして、何らかの暴走や劣化による施設大破爆発。」



「それに伴う周辺地域の汚染は気を付けるべきと思ったのだろう。」





「しかし、良かったですよ。事前に放射能の計測をしましたが、問題は有りませんでしたし・・・・・」



 念の為に調査前に放射能検知器で放射能を計測した結果、全ての数値が正常値を示していた。







「此処を放棄する前に、全てのパーツを取り外して何処かに破棄・放棄したのでしょうね。」





 岩本も、倉庫内の状況を見る限り、そう結論付けた。







「しかし、一体、何処に・・・・・・・」







 不可解な疑問が残る中、その謎は半月後に宇宙ステーションで勤務している宇宙飛行士らに由って解かれたのである。





 何でもこの惑星の周囲では、見た事も無い巨大な建造物が漂って居るらしいとの報告が為されたからだ。





 それも、どうやら何れの建造物は全てが無人だとの予測が成されて居た。





 どうやら先人達は、宇宙技術や宇宙での生活を早々に放棄したらしい。



 地球系転移国家の学者達は、恐らくは金が掛かるのと、何らかの理由で国力の低下が原因ではないかとの報告を纏めたのである。



 しかしながら、後に発覚したのは、ルナルノワール・ブラックドラグリア族、通称名は黒竜人族が、放棄された月面都市や宇宙コロニーに居住して居る事が分かる。



 直ぐに調査団を送りたかったが、大気圏突破の術が殆んど無かった為、転移ししてから初期の時代では断念せざるを得なかったと言う。



 ガイダル諸島調査団は、日本とダバード・ロード王国へと、この事を調査結果を報告ず終わると、飛行場の改築工事を本格的に進めるのだった。





 ダバード・ロード王国は発見された戦闘機を旧ロード・コスモ資本連合国の物と断定し、解析をする為に発見された物を日本国へ譲渡する事を決定した。





 見返りは将来の発見された飛行機から齎された新飛行基本技術の譲渡と各種人材の育成である。



 画して戦闘機の発見と魔導機兵の運搬、それとダバード・ロード王国のアーヤ・シュチュ―ド女王の思惑も有って、日本は自衛隊による西方方面輸送作戦の発動が、この後に発令されるのであった。

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午後15時15分頃の事です。





 西方面海自派遣艦隊・通称・ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称ダバ派遣艦隊は、パイプ・ライン大河を更に西へと進み、ラクロアナ王国の国境を通り過ぎ、アルガス公国・グラバラカス州・グラダマ市・グラダマ湾港に入国して居ました。





 その途中で、同国の大河を警備するアルガス公国水軍の艦隊の臨検を受けたが、日本国の名前と、ダバ派遣艦隊に同行している高雄瑞樹と愛宕千棘の両名が、コヨミ皇国が発行した書状とシベリナ連合各国大使が書いた書類を手渡すと、すんなりと通行を許可してくれた。







 そして、臨検をしていた部隊長が、かがに乗り込み停泊予定地まで同行し、同港にて、領内通行と入国に関する書類にサインをします。











 この日の寄港地予定は、この国の第2の大きさを誇る交易都市、グラダマ市の港の近くに各艦が分散して停泊する事と成ったのです。



 ダバ派遣艦隊がグラダマ湾港へと入港したのは、食料と飲料水の補給に加えて、定期休憩を取る為でも有ったのです。



 何せローラーナ帝国の東部地方領が目の前に在るのだから、何時戦闘状態に成っても不思議は無く、安全地帯と成って居る友好国の湾港に泊まれるのは非常に有り難い事でした。



 そして、この日はアルガス軍のグラダマ騎士師団とグラダマ市の歓迎会の招待を受けて居ました。







 本当ならば、日本国との外交がハッキリとして居ない最中での歓迎会パーティーと言うのは、日本国とアースティア世界諸国の公平な立場を貫く体裁の都合上・・・・お断りするのが正しい判断とされる中で、日本国政府と外務省・交援省らは、無用な誤解を受けては困るが地方自治政府や地方師団軍との交流すら断るのは流石に失礼と考えられる事から、同地方政府と国軍からの歓迎会を受ける事にしたのであった。 





 それとアルガス公国首都・公都・リガ・ミリィー・ディーナ市・ラーデイァシュ城・公王執務室では、アルガス公国の公王であるブレックス・ファーミラ公王が、対日本国と地球系転移国家諸国に対する対応の最終決定が話し合われて居ました。





 アルガス公国は、武勇的な気風が残る騎士の王国で、未だ騎士が国の根幹たる戦力で、アルガス騎士団と言えば、このユーラシナ大陸全土に名の知れた軍勢でも有りました。







 かと言って文官の立場が決して悪い訳では有りません。



 この国の武人が有る意味「脳筋」「戦バカ」な人達が多いだけで、600年間もの間、ローラーナ帝国と戦を続けて居るせいも有るのでした。







 そんなアルガス公国内の主な産業は、各種鉱山から収入と農業・水運業での貿易によって栄えて居ました。







 工業と言えば、鎧に剣等の武具を作れる程度で、魔道戦艦はオローシャ帝国で購入し、魔導機兵はダバード・ロード王国から購入して居ました。











 その何方の兵器も、少数の輸入に留まって居て、この国は機械化が立ち遅れている古い国でも有ったのです。







 航空戦力としての竜騎士航空部隊が扱うワイバーンも、国内で700騎程度でしか無く。



 軍備に措いて、アースティア世界諸国に措ける最高水準から立ち遅れしまって居る古い騎士国なのが、当時の情勢下では残念でなりません。







 アースティア大戦末期の戦史に措いて、アルガス公国は日本国で開かれた東京サミットに参加すると言う事は、政治・経済・軍事改革の分水路に立って居ると言えるのでした。







 それに加えて、稀代の騎士団長と呼ばれた各軍団長等は、日本国の自衛隊と共に戦ったブラキュリオス湖畔紛争で、その進んだ軍備と戦術に感銘を受けた事が切っ掛けと成り、近代軍への道を歩み始めたと、後に書かれる歴史書には記されて居ます。





 ブレックス公王は、カミュ・ファーミラとジュデオ・ファーミラと言った二人の息子たちに日本国と地球系転移国家諸国の出現に伴う一連の騒動とローラーナ帝国武力衝突が起きて居ると説明。



 ダバード・ロード王国は、シベリナ王国連合諸国に対して、日本国と地球系転移国家諸国との国交樹立に向けた国際会議の開催を提案して居る事から、国際会議への参加するべく、異界の新興国である日本国へと向かう事や二人に同行して欲しいと伝え、これを了承する事に成った。





そして、その切っ掛けと成る話が、これから始まろうとして居た。





ブレックス公王は、ある目論見を考えて居ました。





 それはダバード・ロード王国へと向かう途中のダバ派遣艦隊を使って、留守中の国内へと侵攻する可能性がある南部のローラーナ帝国軍を叩く事でした。







 しかしながらまだ日本国とアルガス公国との間には、まだ同盟を締結をして居らず、お互いの事情から簡単には軍事同盟を結び、共闘する訳には行きませんでした。





 其処でダバード・ロード王国のアーヤ女王は、日本国の隣国と成ったラクロナ王国外務大臣であるエマリー・ロズリーを日本国へと派遣して貰い。



 アセリナ王国・アルガス公国・ラクロナ王国・ダバード・ロード王国の4カ国からの委任状を持って、代理交渉人として、日本との国交開設交渉及び安全保障条約締結交渉が始まるまでの間。







 パイプ・ライン大河の航路上で、ローラーナ 帝国との紛争または戦争に突入した場合の安全保障に関する臨時協定を日本の福岡市に在る異世界国家交流総合支援省で行われる事に成って居ました。





 歓迎会の会場は、グラダマ市迎賓館と言う建物で行われ、其処での出迎えをしたのが、紅花園の誓い (こうかえんのちかい)の英雄の一人であった、クリスティーナ・マケッンジーことクリスであった。





 このグラダマ市迎賓館での歓迎会で、アースティア大戦末期戦史に措いて、初めて彼女の名が記されたのは此処からと言われて居る。



 当時のクリスは、レジェンダリア諸島へと侵攻を企て居るガミトフ・バイマン中将を中心とした、ローラーナ帝国軍・グリクス地方軍団の動きを警戒する任務に就くべく、同地方での待機に入って居た最中であった。



 そんな歓迎会場の中で、自衛隊幹部の入場を告げられると一斉に拍手が挙げられました。











 それは盛大に、この会場に訪れた軍の関係者とグラダマ州の長官と官僚とグラダマ市の市長と幹部職員からはち切れんばかりの拍手でした。







 それらの代表としてアルガス公国の宰相であるルオ・ウオーミングと言う眼鏡を掛け、口元から出っ歯を出している怪しげな感じをしている男が前へと出て来ます。











「ようこそ!アルガス公国へ!改めてご歓迎いたしますぞ!私はアルガス公国の宰相のルオ・ウオーミングです。」











「司令官の置鮎一等海佐です。こちらこそ。短い滞在ですが、お世話に成ります。」











「ささ、こちらのお席へどうぞ。」











 皆がそれぞれ指定された席に着く。



 クリスがルオに小声で囁く。











「ルオ宰相閣下、ニホンの皆様は軍の規定でお酒類は控えたいと言って居ります。」











「おお、さようか。では果実汁でも振る舞う様に使用人達等に伝えよ。それにしてもニホン軍は酒を嗜まないのか?」











「いいえ、敵に不意を突かれたとき酔って戦えないのは不味い上に、飲酒での乗り物の運転は軍規処か一般の法律でも禁止されて居るとの事です。」











「なるほど・・任務遂行の妨げなる事を避けたり、様々な事故を未然に防ぐのが狙いか。これは我が国でも一向の余地が有る考え方だな。それならば仕方があるまいて。」











 日本では当たり前の飲酒運転の禁止に加え、勤務時間内での飲酒も当然禁止なのは、この世界では珍しい事でした。





 昔ならではの士気を高めたり、休養の意味で飲み食いの席での酒を飲む事は、決して珍しくない事でした。







 そして、ルオは日本の厳しい法律と軍規を聞き、関心する事と成ったと回顧録には残って居ます。





 しかしながら、この時のダバ派遣隊の面々には、不意打ちとも言うべき事態が起きてしまいました。





「本日、特別なお方をお招きして居ります。」











「お忍びなので拍手の方は、お控え頂きたいと思います。」











「アルガス公国の公王、ブレックス・ファーミラ公王陛下のご入来です。」











 これには自衛隊幹部ら驚いてしまいます。











 まさか逗留地域の国家元首が、この晩餐会にやって来るとは予想外の事だったからでした。



 ブレックス公王の見た目が、アメリカ合衆国・第16代・大統領のリンカーン大統領と凄く似て居る渋いオヤジと言うのが自衛隊幹部の感じた感想と印象だったとの感想が残って居ます。







 それに短い滞在・・・それも各艦の燃料の給油と隊員の休息の為に立ち寄っただけの訪問。







 本来なら行政の長や軍の地方司令官に挨拶するだけで済む話が、かなりの大事に成って来て居る事を、この時の置鮎らは感じて居たようですね。





「もしかして、これは・・・やれたかもしれない。」











「ええ。」と置鮎一佐と井上一佐は小声で言い合って居ました。











 これはアルガス公国側の企みの一環で、ダバ派遣艦隊の一同は、公王が置鮎一佐を始めとする自衛隊と面会する為に嵌められた事だと言う事にです。





 その後は、何事も無かったかのように乾杯の音頭取り、和やかな歓迎会が模様され、恙なくパーティーが行われ居ました。









 ブレックスはクリスを呼びつけると小声で話しを掛けていた。











「クリス、先ほど続報が入った。南の帝国軍に更なる動きが有る様だ、晩餐が終わり次第、ファン・ブランク市の方へと部隊を集めろっ!」











「現地の騎士師団には、既に戦時体制の召集を掛けて居る。」











「はっ、では私の騎士団の手配をして置きます。」











 どうやらブレックスが来た理由は、自衛隊の者達に会いに来たのと帝国への対応の為でも有った様なのです。





この動きに自衛隊の派遣艦隊は否応なく巻き込まれ様として居るのであった。











 そして、晩餐が始まって暫くした後に、ブレックスは、密かに置鮎一佐と井上一佐を呼び出したのでした。















 二人は防衛省から連絡が有ったと言う事にして、別室での通信機器による通話をすると言って二人は席を外します。







 二人が会場を去るのを見送るとブレックスはワインを1杯飲み終わると、お忍び故に、これにて退席すると言い残し会場を後にします。











 別室に集まった3人は、ある事に付いて話をするのでした。





「不味い事態が起ころうとしている。」











「不味い事態?」











 険しい顔の公王を前に、まだ置鮎と井上の二人は状況が全く分らないまま、話を続けます。





「貴公らがこれから行く先に、ブラキュリオス湖と言うこのシベリナ地方でも最も大きな湖の一つが在る。」











 「その湖の中央にレジェンダリア諸島と呼ばれる島が在るのだが、此処は我が国とシベリナ連合にとって重要な拠点でもある地。」











「今日入った最新情報に由れば、帝国軍は何某かの作戦を行う為に、シャッポロ川を北へと移動を開始した様だ。」











 ブレックスの話を聞いた二人は、ようやく合点が行き、この先の事態を重く受け止めて居ました。











 海自と陸自の司令である二人は、目を見合って頷きます。





「では陛下!早晩、アルガスと帝国はぶつかると仰るのですか?」









 口火を切って聞いてきたのは置鮎一佐でした。







ブレックスは一瞬だけ目を伏せると一つ間を置いて、それに答えました。











「彼の帝国が、何を考えて世界制覇等と言う妄言を掲げて居るのかは、今は誰にも分らぬ。」







「この度の帝国の北への侵攻もまた然りだ。」











「だが、何らかの作戦を意図している事だけは確かだ。」











「帝国は東方地域の制圧、反帝国同盟の主力国家が点在するシベリナ連合を何としてでも、討ち滅ぼそうとして居る。」







「その一番手柄を狙って居る帝国諸侯や将校に方面軍の各司令官も多い。」











「そして、謎の国家と思わしき二ホン国が東の海に現れた。奴らはどんな手段に打って出るのかも分からん。」







「これから先の道筋で、貴公らを襲うやも知れんのだ。」





 井上一佐が、この状況から導き出される事を言います。





「それで、陛下は・・・・我々自衛隊に助力をと考えて居られるのですか?」



「それで、陛下は・・・・我々自衛隊に助力をと考えて居られるのですか?」















「貴公達が、そう言うのも当然であろうな。」











「だが、わしは、そして、我が国は、敢えてニホンへの援兵を求めないと言おう。」















「何故ですか、我々自衛隊の援兵は喉から手が出るほど欲しいものではないのですか?」



置鮎一佐が、不思議そうに感じながら聞きます。









「そう、確かに欲しいものだが、これは貴国の立場を踏まえたものなのだ。」











 そう、ブレックスに言われた二人は、日本特有の事情が頭に浮かびます。



 そう・・・・・日本国と言う国家は、第二次世界大戦・太平洋戦争での敗戦と帝国軍国主義と言う物を国是としてしまった事の反省から、専守防衛と言う国是と特別な理由を付けないと軍事行動が取れない国家である事にです。



 それを改めてブレックス公王から突き付けられ・・・・「確かに」と口を揃えてしまってしまいました。



 当たり前だが二つの事情が有り、此処に居る両者に難しい判断を迫られて居ます。





 一つ目は、まだ、両国が国交を結んでいない上に、同盟や相互防衛等の条約を締結して居ない事。







 今は防衛協定と言う形で、本当に困った時だけ共闘すると言う文言の取り決めがシベリナ連合各国との間で取り決められて居るが、簡単には助ける訳にもいきせん。



 かも知れないだけでは戦線の拡大に加担する訳にも行かず、ダバ派遣艦隊はダバード・ロード王国に向かうのが主任務だからと言うのが大方の理由を占めて居ました。







 そして、もう一つの理由である二つ目は、日本が専守防衛と言う事を国家の基本として法律で決められて居る事でした。





 この世界の日本は、2030年までに法律を幾つかの改正に至って居るが、敵地の破壊と国境付近での領海と領空の侵犯した戦闘兵器や工作戦またはグレーと思しき船舶の威嚇と拿捕、或いは抵抗か従わない場合には撃沈も可能と成って居ました。



 航空機の場合は威嚇か交戦すると思わしき動作をした場合に可能と書かれて居ました。



 こんな法律と防衛力の見直しをしなければ成らなかったのは、2016年までに起きた世界情勢、南方の海にちょっかいを出したり、占領政策を海洋進出を続ける赤旗大国とミサイルと核が大好きな北の将軍様の国らが、大法螺砲(法)を撃ちまくる傍迷惑な大国の大統領の国が影響して居ました。





 そんな厳しい安全保障問題が取り巻く環境の中で、更にはウクライナへのロシア軍の侵攻が起こってしまいます。





 この特別軍事作戦と称する明らかな宣戦布告無き侵略戦争は、世界情勢と世界経済に強烈な打撃を与える事にも成り、日本国の安全保障問題の法律改正が行われるのは当然の帰結と言えるでしょう。



 それでも太平洋戦争での敗戦のショックは抜け切れて居ないのが、我が国の性かも知れませんね。





「専守防衛か・・・我が国も含めて殆どの国が戦争行うが、理由無しにはやる国が殆ど無いだろな。」







「帝国との関係を持たない国を除いてを付け加えるならばな。わしも他の者から見たとしても憲法に置いて自国から手を出さないと明記するなど正気の沙汰ではない言うだろう。」







「まぁ、そうでしょうね。」





 二人は自嘲的な顔付きに成って居たそうです。







「だから敢えて言おう、此度は援兵は頼まない。理由とその建前は、既に述べた通りだ。」











「では、如何なさるお積りなのですか?」











井上一佐が改めて王に問います。











「それは貴公らが決める事だ。」











「我々がですか?」











 置鮎一佐が聞き返えします。







 自衛隊の二人は互いを見合うと公王の答えに、少々困惑している様だったと言います。











「そうであろう。此処からは貴公らが決め、貴公らが行く道だ。そうだな、年配の経験者としての助言を与えよう。」







「此処から先のブラキュリオス湖での戦は、貴公らが戦を避ければ戦には巻き込まれない、これは確かであろう。」







「だがな、帰りになれば、同地にての交戦は避けれず、アルガスはレジェンダリア諸島をニホンの援助無しでは永久に取り戻す事は叶わないであろう。」











「そして、此処から西へと向い、オローシャ帝国・ダバード・ロード王国・アセリナ王国、それと我が国へ続く交易水路が使い辛くなる事も付け加えて置く。」











「それって行きも帰りも戦うなら、行き掛かりにやったほうが楽と言われてる様なものでは?」











井上一佐が溜息をついて、呆れた表情で言ったそうです。



 行って帰っても交戦するし、何もしなければ、日本に取っての通り道であり、通商で使う貿易路が大変だぞと、ブレックスは言うのです。







「ははははっ、たが、それでもわしは援兵を頼まない。後は貴公らが決めれば良い。」







「それに今日、貴公達に会いにきて良かった、思わぬ収穫でも有ったしな。」











「今日は誠に不快な思いをさせた。公王として謝罪する。済まなかった。」







「そして、貴公達の任務の無事を祈って居る。」











 ブレックスはそう言い残しつつ、笑顔で立ち去って行ったそうです。











 残された二人は困った顔付きで、今後をどうするか考えあぐねてしまいました。







 こんなやり取りを済ませたブレックス公王は、様々な手立てを打った手だてが、両方とも上手く行き、オマケとお釣りが付いて来る結果に成るとは、想像すらして居なかったと回顧録には残って居ます。











 それがアースティア大戦末期の初頭の激闘と言われるブラキュリオス湖畔紛争の開戦まで、数日前の事でした。



アルガス公国・グラバラカス州・グラダマ市への歩き方。



 リガ・ミリィー・ディーナ国際空港からアルガス公国・グラバラカス州・シベリナ鉄道アルガス公国線を使って二時間。



グラダマ市湾港からは居りて市内中心部へは交通機関で12分。



グラダマ市行政総合長舎



 アルガス公国・グラバラカス州・シベリナ鉄道アルガス公国線・グラダマ市駅から公共交通機関を利用して10分。徒歩で15分。グラダマ市湾港から12分。





グラダマ市迎賓館



 グラダマ市迎賓館は、アルガス公国に措ける由緒ある迎賓館の一つで、時を経た今でも国賓歓迎会や様々な行事界に使われて居る。



 アルガス公国・グラバラカス州・シベリナ鉄道アルガス公国線・グラダマ市駅から公共交通機関を利用して10分。徒歩で15分。グラダマ市湾港から12分。







グラダマ市湾港



 パイプ・ライン大河国際定期便船で入国かグラダマ市への公共交通機関を利用して12分。





アルガス公国軍・グラダマ騎士師団駐屯地



 アルガス公国・グラバラカス州・シベリナ鉄道アルガス公国線・グラダマ市駅から公共交通機関を利用して10分。徒歩で15分。グラダマ市湾港から12分。



 グラダマ騎士師団駐屯地への見学は不可だが、グラダマ騎士師団アースティア大戦記念館にて、グラダマ騎士師団に関する資料が公開されて居る





グラダマ騎士師団アースティア大戦記念館



 グラダマ騎士師団駐屯地の南側に有るアースティア大戦に関する記録を後世に伝える記念館で、アルガス公国・グラバラカス州・シベリナ鉄道アルガス公国線・グラダマ市駅から公共交通機関を利用して10分。徒歩で15分。グラダマ市湾港から12分と成って居る。